都市の裏側を切り取る2人の写真家、KABO&AIKIの展覧会「写真区」が開催
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都市の日常を独自の視点で切り取る写真家、KABOとAIKIによるグループ展「写真区 PHOTO DISTRICT」が、2025年3月1日から16日まで東京・原宿のHARUKAITO by ISLANDで開催される。
本展では、スケートボードやグラフィティカルチャーを背景に持つAIKIと、香港と東京を拠点に活動するKABOが、それぞれの視点で捉えた都市の姿を展示する。両者に共通するのは、計画的な撮影ではなく、街を歩き回りながら直感的にシャッターを切るスナップショット的な手法だ。
AIKIの作品は、路上で過ごす時間の中で撮影されたフィルム写真が中心。一方、KABOは香港での「2014~2019に起こった政治運動後」の日常を捉えた新作シリーズを発表する。彼らの写真には、一見何も映っていないように見える日常の断片が写し出されているが、そこには現代都市の深層に潜む情念が浮かび上がる。
キュレーターの松下徹氏は、「2人の写真は、あらゆるものが情報空間の中に可視化され、監視社会の中で失われつつある『内面的世界が現実を侵食できる理想』を表現している」と解説する。また、非計画的な撮影スタイルについて、「人々の行動を管理し、排除さえ厭わない都市秩序をすり抜け、都市と自らの精神や内面との結びつきを獲得する実践」だと評している。
スマートフォンで大量の写真を撮影する現代において、KABOとAIKIの作品は、写真の持つ本質的な豊かさを取り戻す試みとも言えるだろう。都市の隠れた表情や、日常に潜む詩的な瞬間を捉えた彼らの作品は、見る者の想像力を刺激し、新たな視点を提供してくれるはずだ。
写真愛好家はもちろん、都市や現代社会に興味を持つ人々にとって、刺激的な展覧会となりそうだ。会期中の木曜日から日曜日、13時から19時まで開場している。オープニングレセプションは3月1日18時から20時まで行われる。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000057302.html