阿坂春

第6回お題ログライン「引っ込み思案な図書館司書が、本の中に入り込める能力を手に入れ、物語の世界での冒険を通して、現実世界での自信を取り戻そうとする話。」

中村航のコメント
まずタイトルが良い。名探偵のバディになる、というのはあまり考えたことはないけど、万人の夢かもしれない。素晴らしい。

このコンテストの結果発表

【結果発表！】第6回中村航選プロットだけ大賞

2025/01/09

つくログ

村山　健壱
2025/06/05 23:42
「まるせん」の「能天気七七コンテスト」で1句を入選としていただきました。有り難うございます。川柳は2週連続で入選漏れとなり、残念です。まあしかし、能天気に続けようと思います。
蜂賀三月
2025/06/05 18:25
#週5公募チャレンジ皆様お疲れ様です！今日は記念すべき200回目のチャレンジなので小説の公募に挑戦しようと考えていたのですが……まだ推敲が納得いかないのでやめました！(笑) なので今日は毎月リベンジを狙っている「きのこ大喜利」に挑戦しました🍄 https://koubo.jp/contest/267043 大喜利もなかなか難しいです💦 そういえば今日郵便が届いており、以前応募した「恋の五行歌」で一次選考は通っていたそうです。(1308首中一次選考通過は154首) 入賞はできませんでしたが、選考を通過したと教えてもらえるだけありがたいですね🐝
miaben
2025/06/05 15:28
今日は「猫俳句大賞」に応募しました！猫派としてぜひ大賞をいただきたい…！！
村山　健壱
2025/06/05 13:31
「まるせん七七」において、2025年6月4日に投稿した句が「今日の一句」に選ばれました。有り難うございます。いつも同じことを書いてますが、是非本日（6月5日）中に七七のトップページにて、写真付きでご鑑賞ください！ちょっと思ったのですが、僕が「今日の一句」に選ばれた時の写真、このモデルさんが多い気がする……。それから6月1日発表の「小説でもどうぞ」第44回、受賞の皆さまおめでとうございます。今回もそちらの世界には届きませんでした。頑張ります。そして今回、落選供養は回避します。今回の「習慣」は以前NOVELDAYSのコンテストで落選したものをほぼ流用していました。こちらに応募するときに、その作品は「非公開（下書き）」設定にしたのですが、それを「公開」に戻しました。「小説でもどうぞ」の落選作を集めた『あしあと』にも入れてはいます。つくログ落選供養に出す方が人に読んでいただけるとは思いますが、そこはまあ、こだわりみたいなものです。では引き続き、よろしくお願いいたします。
時雨
2025/06/05 01:53
こんばんは。私も落選供養に投稿させていただきます。どうぞよろしくお願いします。 #第44回どうぞ落選供養テーマ　習慣タイトル　ゆれる日常　私は腹の肉をつまんでため息をついた。鏡で全身を映してみると、ウエスト周りが体の中で一番大きくなっているのが一目瞭然だ。　体重も徐々に目盛りが増えていた。食事はなるべく栄養のバランスに気をつけているが、あればあるだけ食べてしまっていた。なので、健康とは言いがたい状態だった。「このままではまずいな」　私は気持ちを新たにし、運動することにした。運動が嫌いで体育も１や２ばかりだった。特に団体競技が苦手で球技などはからきしだった。なので、一人でできる運動をしようと考える。月額制のジムに通ってみたが、歩いて十五分かかるので行くまでが億劫で、それでも週一で行ってベンチプレスやエアロバイクなどをやったりした。　けれど仕事が忙しいのもあって次第に足が遠のき、一度も行かない月が続いたので辞めてしまった。ストレッチなども早く寝たくてすぐに忘れてしまう。　どうしたらいいだろうと考え、ウォーキングをすることにした。ジョギングは膝への影響が心配だが、歩くなら足への負担もそれほどないだろう。　私はいつもより一時間早く起きるようにした。始めは眠いし、少し歩いただけで息が切れる。けれど続けるうち、目覚ましが鳴ると妻を起こさないようにもそもそと支度をして、早足で三、四十分ほど歩けるようになっていった。　寒い頃は少しきつかったが、体を動かしていると内側からポカポカして気分もスッキリする。家を出て左手にまっすぐ行き、大通りへ出たらまた森林公園に突き当たるまで進み、左へ曲がって坂道を下る。家の近くまで来たらまた左折して歩くというコースを辿っていたが、気まぐれに違う道を行ったりしてそれも楽しかった。　ある日いつものように散歩していると、向こうから誰かが歩いてきた。いつも犬を連れている老齢のご婦人かと思ったが、傘をさしている。上を見ても雲一つない青空だ。日傘だろうか。けれど日差しも強くないし、紫外線が気になる気候ではない。しかも近づいた時に気がついたが、傘の先にハンガーが付いていてTシャツをかけていた。どうもおかしな人だ。そう思い、触らぬ神に祟りなしとそっと通り過ぎようとした。「おはようございます」と声をかけられる。男性で、おそらく私と同世代だろう。紺色のジャージを着ている。「──おはよう、ございます」　たどたどしく返事をした。無視をしたら、追いかけられたり何かされるかもという恐怖に負けてしまった。　彼はニコニコとこちらを見ている。そして私の視線に気づいて「ああ、これですか」とTシャツを指した。「これは洗濯物です。出かける時に下げておくと早く乾くので」　あっけらかんと説明する。「そ、そうですか」　私はしどろもどろに返すと、そそくさと彼の脇を速足ですり抜けていった。　次の朝外を歩いていると、また例の人に会った。「おはようございます」　挨拶をされ、ぺこりと礼を返す。時間がずれても大体同じところで会うので、彼もウォーキングをしているようだ。いつも傘をさし、ハンガーを吊るしている。服はシャツだったり、カーディガンだったりベストだったりだが、大抵何か吊るしていた。雨の日はしていないが、ハンガーだけ雨に打たれていた。　彼は変な傘を持っている以外はどこにでもいそうな人だったので、何度か顔を合わせるたび、少しずつ雑談もするようになった。ある朝また話をしていたら、ツリキさん（と言うらしい）が「どうでしょう、家に遊びに行きませんか」と言った。驚いたが、休日だし好奇心もあって「じゃあ、お言葉に甘えて」とついていく。いつもの散歩コースから外れて何度か道を曲がると「ここです」とある一軒家を指した。何の変哲もないグレーの屋根の建物で、前側に狭い庭がある。どことなく不穏な空気を感じた。「どうぞ」とドアを開ける。恐る恐る入った。と、私は言葉をなくす。　家の作りや家具等は普通だが、玄関から続く廊下の壁や、二階へ上がる階段、洗面所、台所、居間、ありとあらゆる壁面に服が干してある。種類も上着やズボン、インナー、靴下等がハンガーにかけられ、それが壁に取り付けてある多数のフックに下がっているという有様だった。「これは――」　私が二の句を告げずにいると「なかなか壮観でしょう。服を早く乾かしたいのもあるんですが」と言う。「庭があるから外に干せば」「花粉や黄砂がしょっちゅう飛んでくるじゃないですか。アレルギーなんです」「洗濯乾燥機は……」「あれは趣がない」と、きっぱりと言った。どうやら矜持があるらしい。「何、除湿機をいつもつけているから大丈夫ですよ。どうです、素晴らしいと思いません？まるでアートでしょう。服は一日ごとに変わるし」　彼は満足そうに両手を広げる。夏は暑かったり冬も凍えたりしないのかなどと思ったが、それ以上何も言えず、いただいたお茶をすばやく飲むと、早々に退散した。　それ以降、彼とはなぜか会わなくなってしまった。もしかしたらコースを変えたのかとも思い、気になっていた。　ある日、彼の様子を見に行こうと思い家を探したが、行き方が分からなくなっていた。どうしても迷ってしまってたどり着けないのだ。　一体どうしているのだろうと心に引っかかっていた。　そんなことを考えていたある日、妻が洗濯機にかけてそのままになっていた籠から、私はふとTシャツを手に取り、ハンガーにかけてみた。「うん、なかなかいいな」　そう呟くと物干し竿にかける。それは風にそよいで、ひらひらとはためていた。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　了