中村航選 プロットだけ大賞 第6回 入選 書中往還記:史書の中にて史家に逢う事
-第6回-
結果発表
お題ログライン
入 選
「書中往還記:史書の中にて史家に逢う事」
文中繡(著)
4.3★★★★★
カテゴリ SF 歴史 ヒューマンドラマ 小説
舞台・世界観
母校の大学図書館に就職した葉子は利用者対応や職場の人間関係が億劫でたまらない。研究生活に戻るか悩む中、手に取った中国の史書『宋書』に入り込み、歴史家范嘩の書庫番として蔵書管理の才を開花させる。
登場人物 柳葉子(やなぎ・ようこ)/本の中では柳葉(りゅう・よう)(25)
女性(本の中では男性)。東洋史専攻の修士卒。書物に埋もれる仕事に憧れ図書館に就職したが対人関係がとにかく苦手。
范嘩(はん・よう)(32)
男性。中国5世紀南朝宋の政治家・歴史家。歴史書『後漢書』の撰者。葉子の雇主となる。
衣川松之助(きぬかわ・まつのすけ)(58)
男性。洛陽大学図書館ベテラン掛長、葉子の上司。本の中では『三国志』に注をつけた歴史家裴松之(はい・しょうし)として范嘩と葉子を見守る。
ストーリー
就職した早々「人が好きでなければ図書館員は務まらない」と言われ落ち込む葉子。仕事中書架から歴史書を落としそうになる。驚いたことに、気がつくと5世紀の中国南朝宋、歴史家范嘩の邸で書庫番となっていた。
葉子は范嘩の元で資料収集、防虫防カビ、書架確保、目録作成、蔵書探索に奔走し、研究と著述を支える喜びを見出す。『後漢書』は構想の途中まで完成した。しかしながら、政変に巻き込まれ范嘩は処刑されてしまう。
范嘩は蔵書を裴松之に託した。裴は范嘩を救えなかったと悔む葉子を労い、史書の物語の結末は変えられないと語る。史書の中で半生を過ごした葉子は現世に帰還する。驚いたことに本はまだ床に落ちていなかった。
人間関係を誤り命を落とし、人とのつながりで蔵書を守った范嘩を思い、葉子は人と向き合い書物を守っていくことを誓う。後に古墓から『後漢書』の未完部分が発掘される。新発見のはずのその一節を葉子は知っていた。
中村先生からの一言コメント
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