【結果発表】第24回雪梁舎フィレンツェ賞展
公益財団法人雪梁舎美術館が、第24回雪梁舎フィレンツェ賞展を開催しました。若い精鋭作家の発掘を目的とし、50歳以下、具象系のという制限の中、全国から164点の作品が集まりました。その中から選ばれた入賞作品5点がこちらです。
フィレンツェ大賞
「シンショク」
杉山花菜
作家コメント
ある日、道路に敷かれた白線が劣化してボロボロに崩れているのがふと目につきました。それが妙に美しく感じられ描きたいと思ったのが今回の作品を描いたきっかけです。しかし構成を考えながら思ったのは、人間が便利さを求めて敷いたアスファルトや白線を風雨と時の流れという自然は静かに、しかし確実に壊していく。人間が侵食している世界を、侵食し返していくその力強さは恐ろしくも美しいものだということでした。そのことを念頭に制作をしているうちにあれよあれよと雑草が増え、そこに対抗するように花を踏む人間に捨てられた空き缶などが加わり白線はどんどんひび割れていき、人間と自然の攻防の末、このような着地点へとたどり着きました。
フィレンツェ美術アカデミア賞
「いつもの駅」
藤野七帆
作家コメント
幼い頃から毎日使ってきた最寄駅には、良いことがあった日や泣きたくなるような日など、様々な記憶が染み付いています。そんな「いつもの駅」をふと外側から覗いてみると、不思議とちっぽけなものに見えました。
なんとなく心が救われたような気持ちになり、描き留めておきたいと思いました。
ファウンダー捧賢一賞
「言の葉」
前島愛由
作家コメント
自然の中に身を置くと、植物たちの葉のゆらめきから、言葉の粒のようなものを感じる時がある。
今作品では文字では書き表せない、植物たちの"言の葉"を絵にしようと思った。
優秀賞
「Thinking」
榊原孔美子
作家コメント
内と外の光をテーマに作品制作を行っています。
外からの陽光を受け温かな雰囲気を纏う室内と、その中に座る人物の心情を描きました。人物と仄かに重なる残像を対比して配置することで、相反する思考に葛藤を感じながらも前進しようとする意志を表しました。また、棘をもつ枝に向かう蝶の羽ばたきは、華やかでありながら危うく、それでも立ち向かう思いの強さを色彩でも表現しようと試みました。
「秘密の部屋」
余統亜
作家コメント
この作品は失意の主人公、うさぎの物語です。
うさぎの内面世界を表した「秘密の部屋」は希望と絶望が混ざり合った空間です。
出典:https://www.komeri.bit.or.jp/setsuryosha/event/firenze/index.html