

矢入えいど
あなたとよむ短歌 vol.44 テーマ詠「くだもの」
- 柴田葵のコメント
熱を出して寝込んでいる様子です。子どものころの思い出を詠んだ歌かもしれません。きっとお母さんやお父さん、祖父母、兄姉など、大人が看病してくれているのでしょう。ごろごろとした氷の音、ひんやりとした枕、熱をもった体、布団。そんな様子が浮かびます。 そこに聞こえてきた「桃缶のぬるい音色」高い低い、大きい小さいなどと表現する「音」について「ぬるい」という修飾語を持ってきたことがなんとも見事です。 熱で食欲がない子に、買い置きしていた桃缶を出してくる。常温で、ごろんとしていて、甘いシロップがたっぷり詰まった桃缶。発熱のさなかのちょっとした安らぎ、うれしさが伝わってきます。
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