えぺ
テーマ詠「地名」
- 柴田葵のコメント
「地名」というテーマで集まった作品のなかで異彩を放っていた一首。そして、地名そのものを真正面からとらえた一首だと感じました。 「じいちゃんが生まれ育った町の名」は消えたわけでなないのかもしれません。けれども、イオンができてから「イオンのところ」と呼ばれるようになってしまった。たとえば地元企業に就職して「出身はどこなの?」と聞かれ、〇〇町と答えると、「ああ、イオンのところね」と言われるように。 人が呼んでこその「地名」です。住んでいる人々も、じいちゃんも、建物も、地名も、ずっと変わらないようで確実に変化する、いつかは失われる、そんな切なさが伝わってきます。