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せきしろの自由律俳句 第57回「悲しい」結果発表

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川柳・俳句・短歌・詩
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せきしろ自由律

【自由律俳句とは】

自由律俳句は定型にこだわらず(定型ではなく)、しかし、リズムはある俳句。

情景を切り取り、その中に心情を込めてください。

 

結果発表

第57回 課題:悲しい

 

せきしろの一句

無理をして起き上がっている

 

最優秀賞

父親の畑が荒れている

(愛知県 ミワサン 43歳)

畑を世話する人がもういないから、結果畑は荒れてしまう。そんな背景を考えてしまったら悲しみは倍増する。父親があれこれ世話をしていた姿を思いだせば悲しみはさらに倍だ。

 

 

優秀賞

何にもなれず歩行者になる

(大阪府 反時計 21歳)

何者でもないことも言語化することで救われることがある。歩行者になったことが悲しいことだとしても、こうして作品になる。かつて何かになりたかった私も救われたものだ。

 

 

メイクまでしてウケない父を見ている

(東京都 天野ボンド 46歳)

こちらの悲しみには「哀しみ」も含まれている。こんな父親を見たくなかった思いもある。「悲しみは人を強くする」などとよく聞くが、このタイプの悲しみも強さになるのだろうか。

 

 

佳作

割り箸でゼリーを食べている
(北海道 エリンギ 34歳)

買ってくれた祖母が怒られている
(北海道 吉村侑太 36歳)

老いる母爪の形は変わらず
(神奈川県 まどのなか 38歳)

泣いている子に睨まれる
(和歌山県 かぎかっこ 51歳)

すぐ割れた茶碗片付ける
(群馬県 伊藤小雨 47歳)

巨峰に慣れてきている
(東京都 松下誠一 18歳)

駅もあの部屋までの道も覚えていない今
(福島県 山 36歳)

10年を3650日と思えば少し悲しく
(茨城県 一本槍満滋 38歳)

冷えきってフィレオフィッシュ
(長崎県 毎日ハッピー 45歳)

夕暮れにみんみんとただそれだけ
(秋田県 サイバ 16歳)

隠れてタバコを吸う祖母
(大阪府 フルカワ 30歳)

歌詞に重ねてみたが自分はまだまし
(東京都 しまこう 34歳)

しぼってもしぼっても雑巾の汁
(石川県 犬山鹿子 35歳)

花とコアラのマーチと小さすぎる棺
(大阪府 石川聡 40歳)

談笑して待つ火葬場
(神奈川県 哲ロマ 41歳)

もう置いてあるだけの一輪挿し
(埼玉県 カズタカ 46歳)

鞄で溶けたキットカット
(東京都 柊木燿 47歳)

強く握れば砂はこぼれ
(山口県 正念亭若知古 50歳)

きれいなコインで汚い釣をもらう
(栃木県 音せみ 50歳)

古本屋にあった新品同様の参考書
(岐阜県 場外 51歳)

実家の畳の匂いが遠く遠く
(神奈川県 ともなう。 59歳)

100均で数珠を探す
(滋賀県 ムラッチ 59歳)

俺の死を知らないポチ
(長崎県 しん男 64歳)

泣くんじゃねえと大声で泣く
(愛知県 東野礼豊 13歳)

倉庫にしまったままの万国旗
(栃木県 まむ 22歳)

また今年使うプラスティックの鏡餅
(千葉県 三郎 71歳)

 

今月の総評

『割り箸でゼリーを食べている』はビジネスホテルなどでよく直面することで、傍から見ると食べにくさと必死さが相まって悲しく見えるだろう。『買ってくれた祖母が怒られている』は子供の頃に見た覚えがあり、甘やかす形になった祖母を母親が怒っている光景を思い出す。『老いる母爪の形は変わらず』は変わっていくものと変わらないものの対比が悲しく、『泣いている子に睨まれる』は怒りも見える。『すぐ割れた茶碗片付ける』のスピード感も悲しく、『巨峰に慣れてきている』はこういう悲しみもあるなと納得する。『駅もあの部屋までの道も覚えていない今』は同意しかない。昔親しくしていた人の家に行くにはどの駅で降りていたのか思い出せないことや、駅は思い出せても家はわからないことがあって、なんとか思い出そうとしているうちに朝になることもある。『10年を3650日と思えば少し悲しく』はたしかにその通りで、具体的な数字が悲しみを生み出している。『冷えきってフィレオフィッシュ』は一見さわやかなCMコピーに見えてからの落差が悲しい。

 

プロフィール

せきしろ

1970年北海道生まれ。俳人、コラムニスト。芥川賞作家でお笑いタレントの又吉直樹との共著『カキフライが無いなら来なかった』『まさかジープで来るとは』『蕎麦湯が来ない』のほか、『たとえる技術』などの著書がある。

 

イラスト:飯田研人/撮影:賀地マコト

募集要項


自由律俳句は、定型(五七五)ではない俳句です。定型ではありませんが、どこかリズム(律)のある句を募集します。句読点は使わず、俳句らしい味わいを意識して、心にしみるような情景、共感できるような情景を切り取ってください。俳句のもとは俳諧ですから、滑稽味があってかまいません。しかし、笑いだけではなく、しみじみ、ペーソス、人間くさいといった句を期待しています。

 

応募規定

定型(五七五)でない自由律の俳句。

面白コピーの募集ではなく、定型ではない無季俳句。

応募上のご注意

・ペンネームを使わない方は、応募フォームのペンネームの欄に本名をお書きください。

・応募フォームの「年齢」の欄は必ずお書きください。

・応募点数に制限はありませんが、1応募につき1作品とします。

応募規定

作品は未発表作品とし、採用作品の著作権は公募ガイド社に帰属。

応募者に弊社から公募に関する情報をお知らせする場合があります。

最優秀賞1点=5000円(商品券)

優秀賞2点=2000円(商品券)

佳作10点=記念品

公募ポイント

mottomo会員の方は、ログイン後WEBから応募するだけで自動的にポイントがたまります。

応募者全員=5pt追加

【最優秀賞】 さらに50pt追加

【優秀賞】 さらに30pt追加

【佳作】 さらに10pt追加

※応募者全員ポイントの付与は各回ひとり1回までです。

※ポイント付与は結果発表の時期に行われます。

募集中のお題

第59回「ぬいぐるみ」

応募期間 ~12月20日

 

第60回「バス」

応募期間 12月25日~1月20日

発表

第59回 2022年2月15日 WEB上

第60回 2022年3月15日 WEB上