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歌え!

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作文・エッセイ
公募ママ

公募歴5年、入選回数は200以上。驚異の入選確率を誇る塩田友美子さんには、どんな秘密があるのだろう。読めば自分も入選できる!?

「こんな作品、恥ずかしくてどこにも投稿できない!」

と、思って手元に眠らせているものはありませんか。

私は様々なコンテストの入選作を見れば見るほど、自分の作品がちっぽけに見え、投稿するのやめようかな……と思うことがあります。

ですが、まずは外に向けて行動しなければ何も始まりません。

というのも、何も表現できずに終わり、悔やんだ経験があるからです。

学生の頃、バンドを組んだことがあったのですが、ある日先輩たちが遊び半分で、私の大好きな曲を演奏し始めたことがありました。

そして、ボーカルでもない私に「歌え!」と叫んでくれたのです。

ベテラン先輩たちのドラムや弦の音が鳴り響く中、歌詞もすべて覚えているその歌を、当時の私はどうしても歌いだすことができなかった。

恥ずかしさが邪魔をして勇気を出せぬまま、ただ聴いていた。

あの歌のない演奏の最初から最後まで、今でも耳に残っているのです。

10年以上たちましたが、あれから生バンドで歌う機会など一度も訪れません。

あれは、人や環境に恵まれたからこそ得た、その時限りのチャンスだったのです。

あの時、照れくさくても、格好がつかなくても、思い切り息を吸ってマイクを手に楽しめばよかった。

今でもたまに、そう思います。

あの時の「歌えばよかった」という気持ちを、もう二度と味わいたくない。

だから、この連載も毎回「えいっ!」と開き直って、公開しています。

何かを表現するチャンスが巡ってきたときには、あの「歌え!」という言葉を言い聞かせ、なんとか自分の背中を押すのです。

音楽と同じで公募も、どんなに不格好でも「とにかくやる!」をモットーにしています。

そうすると日々、進んだり後ずさったりを繰り返しながら、いつの間にかじりじりと進んでいるような気がするのです。

公募の世界はいつでも私たちに、様々なジャンルのマイクを向けてくれています。

川柳や俳句、エッセイやイラストなど、誰にでも自分に合ったステージがきっと見つかるはずです。

いくら音痴でも、とにかく私はマイクを握っている最中。

さあ、皆さんもご一緒にいかがですか。