第76回 阿刀田高のTO-BE小説工房 佳作「来訪者」水曜
絶対に玄関から入るようなことはしない。
それが私の、いや私たちの数少ない矜持である。
理想は屋根の上から侵入することであるが、今の世では難しくなってきてしまっている。そうなると妥協して、窓を出入口とすることが主とおのずとなってくる。
ところがである。
今回のターゲットとなる家は、強敵であった。なんと窓が一つも存在していないのだ。いや、正確にいえばかつて窓だった場所は完全に塞がれてしまっていて、どう見ても使えそうにない。
各種防犯装置も完備されていて、不審者が近づくと自動的に警報が鳴る仕組みとなっているらしい。
どうやら、家主が妙に神経質な人物らしい。過去に痛い目にでも遭ったことがあるのか。それとも元から猜疑心の塊なのか。
セールスお断り。
来る者は断固拒否。
大きな屋敷は来訪者を全力で締め出そうとしている。
まったく迷惑な話だ。
おかげでこちらまでいらぬ苦労を強いられることとなる。
「まあ、それでこそやりがいがある」
泥棒である私の腕が鳴った。
絶対に玄関から入るようなことはしない。
それが私の、いや私たちの数少ない矜持である。
理想は屋根の上から侵入することであるが、今の世では難しくなってきてしまっている。そうなると妥協して、窓を出入口とすることが主とおのずとなってくる。
ところがである。
今回のターゲットとなる家は、強敵であった。なんと窓が一つも存在していないのだ。いや、正確にいえばかつて窓だった場所は完全に塞がれてしまっていて、どう見ても使えそうにない。
各種防犯装置も完備されていて、不審者が近づくと自動的に警報が鳴る仕組みとなっているらしい。
どうやら、家主が妙に神経質な人物らしい。過去に痛い目にでも遭ったことがあるのか。それとも元から猜疑心の塊なのか。
セールスお断り。
来る者は断固拒否。
大きな屋敷は来訪者を全力で締め出そうとしている。
まったく迷惑な話だ。
おかげでこちらまでいらぬ苦労を強いられることとなる。
「まあ、それでこそやりがいがある」
サンタである私の腕が鳴った。
絶対に玄関から入るようなことはしない。
それが私の、いや私たちの数少ない矜持である。
理想は屋根の上から侵入することであるが、今の世では難しくなってきてしまっている。そうなると妥協して、窓を出入口とすることが主とおのずとなってくる。
ところがである。
今回のターゲットとなる家は、強敵であった。なんと窓が一つも存在していないのだ。いや、正確にいえばかつて窓だった場所は完全に塞がれてしまっていて、どう見ても使えそうにない。
各種防犯装置も完備されていて、不審者が近づくと自動的に警報が鳴る仕組みとなっているらしい。
どうやら、家主が妙に神経質な人物らしい。過去に痛い目にでも遭ったことがあるのか。それとも元から猜疑心の塊なのか。
セールスお断り。
来る者は断固拒否。
大きな屋敷は来訪者を全力で締め出そうとしている。
まったく迷惑な話だ。
おかげでこちらまでいらぬ苦労を強いられることとなる。
「まあ、それでこそやりがいがある」
ウイルスである私の腕が鳴った。
(了)