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せきしろの自由律俳句 第41回「夏」結果発表

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川柳・俳句・短歌・詩
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せきしろ自由律

【自由律俳句とは】

自由律俳句は定型にこだわらず(定型ではなく)、しかし、リズムはある俳句。

情景を切り取り、その中に心情を込めてください。

 

結果発表

第41回 課題:夏

 

せきしろの一句

ポケットの砂の分だけ重い

 

最優秀賞

急用でもあるかのように駆け足

(宮城県 もと小学生 41歳)

子供たちはいつも駆けている。特に夏休みはいつも駆けていて、たとえばプールに行く時も駆けていて、プールの帰りもまた駆けている。やがてそう簡単に駆けなくなることを私は知っている。最近駆けたのはいつだろう。そう考える私の横をまた子どもが駆けていく。

 

 

優秀賞

浴衣の人混みとすれ違う

(東京都 ゼットン 22歳)

浴衣の人とすれ違うと「今日はお祭りでもあったのかな」と考える。歩いているとどこからか打ち上げ花火の音が聞こえてきて、花火大会を知る。死んでいると思ったら突如動き出す蝉を見て驚き夏を知る。いつからか私は夏に対して受動的になっていた。

 

 

墓よりバッタ

(北海道 吉村侑太 34歳)

昔お墓参りに行くと自然に囲まれている田舎の墓地にはバッタがいて、私はそれを捕まえることに夢中になった。時期によってはトンボが飛びまわっていて私は狂喜乱舞した。「花より団子」という言葉があるが、子どもにとってはまさに「墓よりバッタ」なのである。

 

 

佳作

せみを掃く
(神奈川県 哲ロマ 40歳)

知ってる日陰のベンチはこれで全部です
(福岡県 トディ 28歳)

前で断られたうちわを渡される
(兵庫県 守谷直紀 45歳)

カビ臭さ我慢して涼む
(東京都 ビールおかわり 48歳)

鼻緒に落ちたシロップの青
(神奈川県 未瑛 35歳)

流し場にすいかの種
(沖縄県 こはるびより 35歳)

2人で食べるわたあめが甘い
(北海道 エリンギ 33歳)

金属の手すりがぐんぐんと夏を吸い込む
(大阪府 フルカワ 28歳)

走って気づく夏
(東京都 山田もめん 37歳)

暑いと言って100円とられた
(大阪府 しげき 79歳)

プールサイドで知る扁平足へんぺいそく
(群馬県 からっぽ 41歳)

バテていても濃い影
(秋田県 紀野珍 45歳)

左腕に時計の跡地
(岩手県 ドナルドジャンク 17歳)

神社の手洗鉢に蝉が浮いている
 (兵庫県 馬場裕二 27歳)

坂に絡む蝉の声
(京都府 NCハマー 43歳)

少しだけ半袖の中を覗こうとする
(宮崎県 ser 16歳)

自販機の補充を待つ炎天下
(埼玉県 カズタカ 45歳)

花火のバケツを片付けている父になった
(愛知県 タカタカコッタ 40歳)

次巻は夏頃
(長崎県 公木正 45歳)

もう冬の話をしている
(大阪府 カメコリー 45歳)

 

今月の総評

蚊取り線香の匂いが嗅ぎたくなった。そこでいつもより早めに蚊取り線香をセットし、ベランダで火をつけた。ある程度嗅いで夏を感じ、火を消して寝た。それから使うことなくそのままベランダにあって、今年の夏になった。そんな私に今回はいろんな夏が届いた。『鼻緒に落ちたシロップの青』の繊細さと美しさ。『流し場にすいかの種』のノスタルジーと鮮明になる記憶。『金属の手すりがぐんぐんと夏を吸い込む』の誰もが知っている温度。『神社の手洗鉢に蝉が浮いている』の静寂と境内特有の涼しさ。『少しだけ半袖の中を覗こうとする』の開放的な気持ち。そして『自販機の補充を待つ炎天下』の暑すぎる駅のホーム。句の数だけ夏があって、私はただただ楽しくなって夢中で読んでしまった。静と動が交差する『蝉を掃く』はこの作者の代表作になってもおかしくない。『花火のバケツを片付けている父になった』は油断すると悲しくなって泣く可能性がある句だ。

 

プロフィール

せきしろ

1970年北海道生まれ。俳人、コラムニスト。芥川賞作家でお笑いタレントの又吉直樹との共著『カキフライが無いなら来なかった』『まさかジープで来るとは』『蕎麦湯が来ない』のほか、『たとえる技術』などの著書がある。

 

イラスト:飯田研人/撮影:賀地マコト

募集要項


自由律俳句は、定型(五七五)ではない俳句です。定型ではありませんが、どこかリズム(律)のある句を募集します。句読点は使わず、俳句らしい味わいを意識して、心にしみるような情景、共感できるような情景を切り取ってください。俳句のもとは俳諧ですから、滑稽味があってかまいません。しかし、笑いだけではなく、しみじみ、ペーソス、人間くさいといった句を期待しています。

 

応募規定

定型(五七五)でない自由律の俳句。

面白コピーの募集ではなく、定型ではない無季俳句。

応募上のご注意

・ペンネームを使わない方は、応募フォームのペンネームの欄に本名をお書きください。

・応募フォームの「年齢」の欄は必ずお書きください。

・応募点数に制限はありませんが、1応募につき1作品とします。

応募規定

作品は未発表作品とし、採用作品の著作権は公募ガイド社に帰属。

応募者に弊社から公募に関する情報をお知らせする場合があります。

最優秀賞1点=5000円(商品券)

優秀賞2点=2000円(商品券)

佳作10点=記念品

公募ポイント

mottomo会員の方は、ログイン後WEBから応募するだけで自動的にポイントがたまります。

応募者全員=5pt追加

【最優秀賞】 さらに50pt追加

【優秀賞】 さらに30pt追加

【佳作】 さらに10pt追加

※応募者全員ポイントの付与は各回ひとり1回までです。

※ポイント付与は結果発表の時期に行われます。

募集中のお題

第43回「嘘」

応募期間 7月25日~8月20日

 

第44回「ボール」

応募期間 8月25日~9月20日

発表

第43回 10月9日 WEB上

第44回 11月9日 WEB上