文章表現トレーニングジム 佳作「はしだのりひこ」エセイスト
第18回 文章表現トレーニングジム 佳作「はしだのりひこ」エセイスト
思い込みとは恐ろしい。
脳は目で見たわけのわからないものを、自分なりに理解できるものへと勝手に変換してしまう。ちゃんと見ているつもりで見ていない。わかっているつもりでわかっていない。確かにこの目で見たはずのものは、実は、自分が創り出したものにすぎなかった。
それは私が子どもの頃のこと。
はしだのりひことクライマックス。「花嫁」という歌が大好きだった。
はしだのりひことシューベルツ。「風」という歌はあまりにも有名。
昔懐かしい胸がキュンとなるフォークソング。グループ名にサブタイトルがついているなんて、「なんて素敵」
そう、私はずっと
はだしのひとりごと クライマックス
はだしのひとりごと シューベルツ
そう思っていたのだ。ある時、何気なく目にした雑誌の文字に違和感が。
「はだしのひとりごとじゃない」
気づいた時の驚き。かなり長年にわたって信じていただけに衝撃を受けた。
人の名前。瑞田宣彦さんとおっしゃるそうです。
「はだしのひとりごと」
それは私だけの、クスッと笑える青春のフレーズ。