第17回「雪のラブレター」結果発表
俳人である松尾芭蕉が「眉掃きを俤にして紅粉の花」と恋を匂わせる句を詠んだ、山形県尾花沢市。『雪とスイカと花笠のまち』としても知られ、毎年「雪にちなんだ恋の句」と「雪にまつわる恋文」を募集しています。第17回をむかえた今年は5,103作品の応募があり、俳句の部では12作品、恋文の部では6作品がそれぞれ受賞しました。
俳句の部は山形県現代俳句協会会長の大類つとむ氏が、恋文の部は山形市出身の脚本家である岡崎由紀子氏が審査を務めました。
俳句の部・最優秀賞
「ふいの雪大阪弁を呼び覚ます」
【講評】生まれ育った大阪を離れて何年になるだろう。そんな時、思わぬ雪が舞い降りてきた。「あ、雪やん」、思わずつかうことのなかったふるさとの言葉が口をついて出た。長く仕舞っていたふるさとの言葉…。雪によって「呼び覚ま」されたふるさと大阪…。やはり詩は瞬間に宿るのかもしれない。
一瞬をとらえて句にまとめた点が評価されました。ふるさと大阪への心に秘めた想いが感じられる一句ですね。
恋文の部・最優秀賞
「南国出身の友人が、尾花沢の雪が見たいというので、連れて帰った。驚く友に、「雪多いがら、米も西瓜も美味いんだ。んださげ、雪さ、まげでらんねのよ」と言って笑った。帰りの車窓から望む雪景色がじわっと滲む。一人にしててごめんな、おふくろ。」
【講評】私自身、高齢の母を山形に残してしているので、この作品は他人事ではなく、読んでいて涙が出ました。綺麗な言葉や詩的な表現は必要ありません。その人にしか書けない、正直な思いを評価したいと思います。「雪さ、まげでらんねのよ」と言うお母さんの声や手、その暮らしぶりまで目に浮かぶようです。
心に響く飾らない言葉が評価されました。お母さんのぬくもりやヒロパンダさんの想いが伝わる恋文ですね。
今回受賞した作品はどれも恋人はもちろん、家族や友達に対する思いを言葉にしたものでした。テーマは「恋」ですが、恋人に限らず大切な人への想いを記すといいかもしれませんね。雪に想いをはせながら胸に秘めた大切な気持ちをつづってみてはいかがでしょうか。
(著者:香山衣美)
【主催】尾花沢市 【共催】(一社)尾花沢市沢市観光物産協会【協賛】日本郵便株式会社 尾花沢郵便局
【応募数】俳句の部 3,869作品 恋文の部 1,234作品
入選作品はこちらから読むことができます。