現代音楽界の巨匠・細川俊夫と、世界的作家・多和田葉子、そして指揮者の大野和士。日本が誇る3人の芸術家が手を組み、新国立劇場で世界初演となる新作オペラ『ナターシャ』を発表する。2025年8月、東京・渋谷の新国立劇場オペラパレスにて上演予定だ。

『ナターシャ』は、人間の欲望と環境破壊をテーマにした現代の寓話。故郷を追われた移民ナターシャと少年アラトが、メフィストの孫に導かれ、現代の"地獄"を巡る物語だ。プラスチック汚染、異常気象、山林火災など、私たちが直面する環境問題が舞台上に生々しく描かれる。

本作の最大の特徴は、ドイツ語、日本語、ウクライナ語など最大36もの言語が織り交ぜられる「多言語オペラ」という斬新な形式だ。多和田葉子が初めてオペラの台本に挑戦し、細川俊夫の繊細かつ力強い音楽と融合。大野和士の指揮のもと、世界トップクラスの歌手陣が集結し、言葉の壁を超えた普遍的なメッセージを届ける。

演出を手掛けるのは、ドイツの気鋭オペラ演出家クリスティアン・レート。7つの地獄を表現する舞台美術にも注目だ。主演には、現代音楽のスペシャリストとして知られるソプラノのイルゼ・エーレンスを迎え、日本からは躍進中のメゾソプラノ山下裕賀が新国立劇場デビューを飾る。

地球規模の環境危機が叫ばれる今、人類に希望はあるのか。日本発の野心的な多言語オペラが、観客に鋭い問いを投げかける。チケットは既に発売中。現代音楽ファンはもちろん、環境問題に関心のある方、そして新しい舞台芸術の誕生に立ち会いたい全ての人に必見の公演となりそうだ。

出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000992.000047048.html