ワンカット撮影の異例企画!『令和に官能小説作ってます』制作陣が語るコンプラとの向き合い方


偏見と向き合う異色のお仕事ドラマ
テレビ大阪の深夜ドラマ『令和に官能小説作ってます』は、官能小説編集部を舞台にしたコメディドラマである。新人編集者が看板作家の作品が盗作だというクレームに対処する第7話「盗作疑惑」では、30分ドラマでは異例となる17分間のワンカット撮影に挑戦している。本作の制作にあたって、監督・脚本家・プロデューサーの三者は、現代の厳しいコンプライアンス環境のなか、いかに作品を完成させたのか。取材を通じて明かされるのは、官能小説という題材に対する偏見との壮絶な闘いである。
社内承認を得るための苦労
プロデューサーの石田雄作は、企画段階で最大の課題は「クリエイターと社内の理解を得ること」だったと語る。官能小説をテーマにすることを伝えた際、社内各部署の反応は戸惑いに満ちていたという。石田は「その偏見を払拭することこそ、このドラマを通して実現したかったこと」と述べ、自身も「普通とは何か」を強く意識するきっかけになったと明かした。脚本を制作する過程では、何重もの社内チェックが入り、表現の線引きをめぐって幾度となく修正が余儀なくされた。例えば比喩表現として使われた「肉棒に飢えた」は「愛蜜に飢えた」へ、「竿1に対して穴2」は「男1に対して女2」へと変更された。
脚本家・監督が直面した課題
脚本家の我人祥太は、原案が一巻完結であったため、30分×10話のドラマに膨らませるにあたり、単なる恋愛要素の追加では本作の本質が損なわれると判断した。そこで官能小説を制作する「フランス書院」の編集長に取材を行い、飛び出したエピソードをドラマに落とし込むことで、脚本のほとんどが実話に即したものとなった。我人は「脚本家脳では絶対に思いつかないことばかり出てきた」と取材の重要性を強調する。一方、監督の山口淳太は、セクシャルな映像作品に対する個人的な懸念を理由に参加を迷っていたという。山口が最も危惧したのは「生身の人間が演じる実写作品で、嫌だと言っている方に対して仕事を求めることはハラスメント以外の何ものでもない」という点であった。制作側がこの課題を真摯に受け止め、「官能小説を真摯に描く」という方針を示したことで、山口は企画を受け入れた。
撮影現場での工夫
山口監督は、令和の働き方を尊重すべく、撮影スケジュールの最適化に力を入れた。1日で1話を撮るという厳しいスケジュールのなか、朝は普通の時間に始まり、夜21時を超えることはほぼなかったという。時間短縮のために採用されたのは、3台のカメラで1シーンを一発撮りするマルチカム撮影である。通常はカット割りを細かく決めて撮影するが、今回はカメラマンが芝居を切り取ることで効率化を実現した。第7話の17分ワンカット撮影は、このマルチカム撮影の応用であり、キャストやスタッフの協力があってこそ実現したものである。
官能小説への向き合い方の変化
三者とも、本作に携わることで官能小説に対する認識を大きく変えたと述べている。石田は取材の際、編集部のみなさんが「真摯に仕事に向き合っていらっしゃった」ことに感銘を受け、自身の偏見を反省した。山口は「どなたでも見られる地上波でやる意義」を強調し、「さまざまな立場の人に見ていただき、そこで気づきを感じていただくことが大事」と語る。我人も、官能小説家の文章力に対する勝手な偏見を持っていたことを認め、「文章の世界に上下はなく、何を書きたいかの違いでしかない」と改めて認識したという。
最終回に向けた見どころ
第1話から第5話まではコメディと官能小説あるあるに重点が置かれたが、第7話以降はドラマとしての骨太な内容へと移行していく。山口は最終話の脚本を読んで涙を流したほどの感動を覚えたと明かし、視聴者に対して「あまり怖がらず」見てほしいと呼びかけた。我人は、シリアスな展開となってもコメディとのバランスが保たれていることを強調し、「構えず気軽に見ていただきたい」と述べている。本作は偏見と真摯に向き合い、ものづくりと仕事の意義を問う作品として、最終回まで目が離せない。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002536.000020945.html