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阿部和重の32年の思考が1冊に『覚書 1990年代-2020年代』3月27日発売

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報道発表
プレスリリースより

157篇を集成した超ド級の大作

河出書房新社は、現代日本文学をリードする作家・阿部和重がデビュー以来32年間にわたり書き綴った批評、随想など全157篇を集成した『阿部和重覚書 1990年代-2020年代』を2026年3月27日に刊行予定である。新聞、週刊誌、文芸誌、ファッション誌、映画雑誌、パンフレット、文庫解説、ウェブマガジンなど様々な媒体で発表された作品は、原稿用紙にして1,300枚に及ぶテキストだ。

本書は単なる文章集ではなく、1990年代のデビュー期から現在に至るまでの思考の軌跡を辿る貴重な記録である。映画、文学、漫画、音楽、アイドル、事件報道など、多岐にわたるテーマを扱う中で、一貫して「物語はどのように現実を形づくるのか」「現実はどのように物語化されるのか」という問いが繰り返される。著者自身が「序」で記した通り、一個の主観を通して32年間の同時代史を辿る有用なテキストとして機能するものとなっている。

映画批評から漫画分析まで多様なテーマ

収録作品のラインアップは実に充実している。創作について、現代映画と疑似ドキュメンタリー問題、大江健三郎、蓮實重彥、中上健次、大西巨人といった文学者たちへの評論。さらには北野武、黒沢清、青山真治、ヒッチコック、イーストウッドなど映画監督たちの作品論。加えて漫画覚書として、あだち充、『頭文字D』、『監獄学園』などについての深い分析も含まれている。

特筆すべきは、その分析の広がりだ。ゴダール、ヴェンダース、キアロスタミ、蔡明亮といった世界的な映画人の作品から、松浦亜弥などのアイドル論、さらにはテロ事件やCOVID-19といった社会的事象までをも論じている。音楽と映画を組み合わせた覚書では、『おしゃれキャット』から『ジュラシック・パーク』まで、計13回にわたる作品分析が展開される。

25歳から57歳に至る散文的エージングの記録

本書が価値を持つ理由は、単なる評論や批評の集成ではなく、一人の作家が25歳から57歳にいたるあいだに示した散文的エージングの定点観測だという点にある。世紀をまたぐ同時代史として有用であり、世界中のあらゆるシーンで日常的に分断が生じ、言葉や情報を安易に信じることができない時代にこそ、確かな思考の記録として切実な意味を持つ。

装丁はデビュー当時からの盟友であるグラフィックデザイナー常盤響による。仕様は46判変形で736ページ、税込定価は4,950円である。

出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001173.000012754.html