いしいしんじ『チェロ湖』が第76回芸術選奨文部科学大臣賞受賞


デビュー30周年記念作『チェロ湖』が文部科学大臣賞受賞
公開中のアニメ映画「トリツカレ男」の原作者として話題のいしいしんじさんの新作『チェロ湖』が、第76回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞しました。デビュー30周年記念作品となる本書は、弦楽器のかたちをした大きな湖を舞台にした大長篇です。
湖に釣り竿を垂らして紡ぐ百年の物語
物語の舞台は、琵琶湖とぴったり重なるチェロ湖。北西の集落・風津から舟を出す若い男が、祖母が遺した蓄音器の針を釣り竿にくくって湖水に垂らします。そのまっすぐな針が、百年にわたる一族四代の「ものがたり」を釣りあげるのです。野鳥の声の録音を生業とする若い男が次々と引き上げるのは、コアユだけではありません。風の音、鳥のさえずり、駆ける馬、眠るねこ、レコード、オーケストラ、茶会、建築、数々のうた──デジタル効率化に覆われる前の人間の営みが、五感で受けとり創りだされた物語として展開します。
贈賞理由で示された『チェロ湖』の価値
贈賞理由では、いしいしんじが「物語性では『古事記』に、自然描写では『新古今和歌集』にまでさかのぼる日本語による芸術表現の根を継いで、あらたな葉を繁らせ、見たことのない花を咲かせることに成功した」と評価されました。912ページの巨大な本は、青い湖の色で包まれており、装画は100%ORANGEさんが担当しています。
書籍情報
『チェロ湖』は2025年10月30日に発売予定で、定価は5500円(税込)です。四六判変型の上製本カバー装で、ISBN978-4-10-436305-6となっています。著者は1966年大阪生まれで、京都大学文学部仏文学科卒業のいしいしんじさんです。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002716.000047877.html