黒川能がシンガポール上演決定、500年の神事能が海外公演


日本・シンガポール外交関係60周年を記念した文化交流
国際交流基金(JF)は、日本・シンガポール外交関係樹立60周年を記念し、シンガポールの国立舞台芸術施設「エスプラネードーシアターズ・オン・ザ・ベイ」が主催するフェスティバル「A Tapestry of Sacred Music」において、日本の重要無形民俗文化財である山形県鶴岡市の黒川能を公演することを発表した。世界各地の神事芸能や宗教音楽が集う本フェスティバルにおいて、黒川能は注目される公演の一つになるであろう。
黒川能シンガポール公演の詳細
公演は2026年4月30日(木)と5月1日(金)に開催される。4月30日はエスプラネード・コンコースで22時15分開演、演目は「猩々」。5月1日はエスプラネード・コンサートホールで20時45分開演(現地時間)、演目は「羽衣」が予定されている。チケットは入場無料で、公演前にはトークイベントが実施される予定だ。
レクチャーとデモンストレーションも実施
公演に加え、ジャパン・クリエイティブ・センター(JCC)においてレクチャー・デモンストレーションも行われる。2026年4月29日(水)に開催され、シンガポール国立大学(NUS)日本研究学科長のリム・ベンチュー氏を講師に迎えて実施。黒川能上座による仕舞「難波」を実演しながら、地域コミュニティに根ざした「神事能」としての精神性や様式美を紐解く機会となる。
500年の歴史を持つ黒川能とは
黒川能は、山形県鶴岡市黒川の春日神社の神事能として氏子たちによって継承されてきた。世阿弥が大成した後の猿楽能の流れをくみながら、いずれの流儀にも属さずに独自の伝承を続けている。室町時代に織られた能装束が残されていることから、少なくとも室町後期1500年には定着していたと考えられている。約240戸の氏子が上座と下座に分かれて能座を形成し、能役者は舞方、囃子方、狂言方を含め150人近くが携わっている。能面250点、能装束500点以上、演目数は能500番以上と、民俗芸能としては非常に大きな規模を有しており、昭和51年5月4日に国の重要無形民俗文化財に指定された。500年以上にわたり、黒川の人々の信仰心と能楽への愛着によって守り伝えられてきた。
次世代共創パートナーシップの一環として推進
本事業は、日本・シンガポール外交関係樹立60周年(SJ60)記念認定事業であり、日本とASEANの次世代の交流促進と人材育成を目的とする「次世代共創パートナーシップ-文化のWA2.0-」の一環として行われる。国際交流基金は「日本の友人をふやし、世界との絆をはぐくむ。」をミッションに、文化芸術交流、日本語教育、日本研究・国際対話を推進する独立行政法人である。このプロジェクトは2024年から10年間にわたってASEANを中心とするアジア諸国と、包括的な人的交流を展開する計画となっている。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000042.000079420.html