間宮改衣『弔いのひ』第39回三島由紀夫賞の候補作に決定


『ここはすべての夜明け前』の著者が第39回三島由紀夫賞に候補
娘と心を通わせられないまま病でこの世を去った父。作家となった娘は父や家族との苦しい年月を「お金に換える」ことにした――。2024年に『ここはすべての夜明け前』で第11回ハヤカワSFコンテストの特別賞を受賞、作家として鮮烈なデビューを果たした間宮改衣さんの新作『弔いのひ』が、このたび第39回三島由紀夫賞の候補にノミネートされました。
デビュー後の深刻な鬱状態を乗り越えて
華々しいデビューにもかかわらず、間宮改衣さんは深刻な鬱状態に陥ります。デビュー作に続く中編を別の出版社に依頼されますが、執筆は一向に進みません。ある日、何度目かの打ち合わせでなぜか口をついて出たのは、パンデミック中に亡くなった父親のことを小説にしたいという言葉。期せずして彼女は「私小説」へと足を踏み入れることになります。
「私小説」を通じて自分自身と向き合う
あたかも『ここはすべての夜明け前』の主人公と同じように、自分自身の人生とも向き合うことになった間宮改衣さん。今まで目を背けてきた自分の人生、そして家族と直視することは新たな苦難の道の始まりでした。30代に入りゲームのシナリオライターの仕事に疑問を持つようになった彼女は、ダメもとで書いた小説が新人賞の特別賞を受賞し晴れて作家になりました。しかし作品が自分を離れて「商品」として扱われることについていけず、心を病んでしまったのです。
父親との過去に落とし前をつける
両親は折り合いが悪く、間宮改衣さんが中学生の頃に父親はガンを発症してからは、治療に専念するため家族と離れて暮らしていました。母親はパートに出て一人で彼女と弟を育てたものの、彼女にとっては毒親だったのです。大学卒業後、東京に出てからは音信不通に。父親の最期にもコロナ禍で故郷には帰りませんでした。しかし思い返せば、そもそも書くことを好きになったのは、ガンに苦しむ父親から目を背けるためだったのです。「過去に落とし前を付ける」ため、彼女は「私小説」に挑戦することになりました。
新作『弔いのひ』は著者の覚悟が詰まった傑作
間宮改衣「弔いのひ」は『ここはすべての夜明けまえ』の執筆の衝撃的な裏側や、著者自身の「夜明けまえ」が赤裸々に描かれ、その先に作家としての強烈な覚悟がにじむ、新たな傑作です。同賞の選考会は5月14日(木)より行われる予定となっており、今後の結果が注目されます。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002856.000047877.html