世界初の北斎×英泉春画展、後期開幕。貴重な《蛸と海女》異版本を5月限定公開


異なる版本の《蛸と海女》を期間限定公開
葛飾北斎・渓斎英泉の春画に特化した展覧会「艶くらべ ー歌舞伎町花盛りー 新宿歌舞伎町春画展WA」の後期展示が2026年5月1日(金)より開幕する。北斎と英泉の春画展は世界初の試みであり、全136点はすべて浦上満氏(浦上蒼穹堂代表)のコレクションから出品されている。
前期展示では北斎の名作《蛸と海女》を目当てに来場者が殺到し入場制限を実施するなど大きな反響を呼んだ。後期展示では作品保護の観点から、異なる版本の《蛸と海女》を5月1日から5月10日の期間限定で特別公開する。同じ図柄でも版本によって摺りが異なり、線や色、紙の表情も変わるのが木版画の醍醐味である。
前期展示に比べて後期の《蛸と海女》は全体に落ち着いた色調が特徴だ。厚さも異なり、前期は上・中・下を合冊した合本で厚みのある仕様だったが、後期は下巻のみとなっている。会場内では、さらに異なる『喜能会之故真通』を用いて上・中・下巻の全ページをめくる映像も放映されるため、さらに異なる表情の作品が楽しめる。
展示作品の半分以上を入れ替え、新たな名品が登場
江戸時代の木版画は光による退色や傷みを防ぐため長期間の連続展示ができない。本展では貴重な作品を後世へ伝えるため、展示作品の半分以上のページ替えや入れ替えを行う。前期展示の版本の違うページに加え、新たに北斎や英泉の名品が加わる。
本展ではまた、《蛸と海女》が北斎の独創に留まらず、北尾重政や勝川春潮らの先行作品を北斎が模倣して描いたものであることに光を当てている。さらに『日本書紀』の「海女の玉取神話」にまで遡る系譜を一望できる展示が行われており、古典を引用し再構築する江戸の絵師たちの「サンプリング&リミックス」の面白さを体験できる。
渓斎英泉の独自の世界を新宿で表現
本展のタイトル「艶くらべ」の通り、渓斎英泉(1791〜1848)がもうひとりの主役である。武家に生まれながら6歳で母を失い、20歳で父と継母も他界。3人の妹を養うために浮世絵師の道へ進んだ英泉は、偶然にも近所に住んでいた葛飾北斎宅に出入りして画法を学んだが、正式な弟子にはならず独自の道を歩んだ。
美人画で名を上げ、春画の作画数は同時代の絵師の中でも群を抜く一方で、戯作の執筆、遊女屋の経営、白粉の販売と、絵師の枠に収まらない生き方を貫いた英泉。当時最大勢力だった歌川派にも飲み込まれず、自らを「かかる放蕩無類の人といへども、更に人是を不悪」と記す憎めない人物である。多様な人生が行き交い、すべてを受け入ける歌舞伎町に最も似合う絵師と言えるかもしれない。
江戸の「性の百科全書」『枕文庫』が主役に
展示作品の中でも、その圧倒的な情報量とユーモアで来場者の目を釘付けにしているのが、渓斎英泉の『枕文庫』である。英泉が医学書に似せて作り、刊行後まもなくベストセラーとなった艶本だ。貝原益軒の『養生訓』に代表される当時の健康思想や、中国由来の性・医学知識を巧みに取り込みながら、そこに艶っぽい要素を織り交ぜ、医学書に似せた艶本として仕立てられている。
江戸における「性の百科全書」の到達点とも称される本作は、知識と好色が絶妙に融合した構成で人々の関心を強く惹きつけた。医学書に似せているので手に取りやすく、庶民にも広く手の届く一冊となった。英泉自身が述べるように、淡い彩色のみで刷られている点も特徴的で、その簡潔な表現は葛飾北斎の『北斎漫画』にも通じている。
春画の世界を学び体験するイベントを開催
本展では『枕文庫』をより深く、楽しく知るための特別イベント「春画ールの春画寺子屋 読んで、知って、体験する。英泉のベストセラー『枕文庫』ってなあに?」が開催される。江戸の性の百科全書とも評される『枕文庫』に詰まった当時の医学知識や、強壮剤、さらには妊娠への考え方など、健やかに生を楽しむための智恵を「読んで、知って、体験する」ワークショップ形式で紐解く。
開催日は2026年4月28日(火)・5月16日(土)で、内容は同じである。詳細はSmappa!Group公式サイトで確認できる。本展は2026年4月4日(土)から5月31日(日)まで、新宿歌舞伎町能舞台とBONDの2会場で開催される。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000102.000042926.html