OOHの「質」を科学する:デジタルサイネージアワード2026優秀賞受賞


アテンション重視へシフト、デジタルサイネージアワード2026で優秀賞受賞
2026年6月10日、一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアム(DSC)が主催する「デジタルサイネージアワード2026」の表彰式が開催され、「OOH環境ごとの広告アテンション・記憶定着率を比較する実証実験」が優秀賞を受賞いたしました。本プロジェクトは、大阪メトロアドエラとPerion Japanがエステー株式会社の協力を得て実施したものです。
従来の広告評価の基軸であった「インプレッション(表示回数)」という「量」の指標を、生活者が実際にどれだけ広告を注視し、ブランドが記憶に刻まれたかという「アテンション(質)」の指標へと再定義する挑戦的な研究です。今回の受賞において高く評価されたのは、世界的な広告潮流である「質の評価への移行」を、日本独自のメディア環境下で定量化した点にあります。広告主の投資対効果(ROI)に直結する「実益的な知見」を提示したことが、市場を活性化させるための重要な一石であると認められました。
VRとAIが解明する視覚体験、4つの環境で実証実験を実施
本実験は、現実世界のノイズや生活者の動線を再現するため、VR空間での環境シミュレーションと最先端のAI解析(Vision Transformerベース)を融合させています。検証環境は駅構内での歩行中の流動的な視覚接触、車内での滞留時間が長く認知的余裕がある状態、屋外大型ビジョンでの歩行と滞留が混在するパブリック空間、リビングTVでの家庭内のプライベートな視聴環境の4つのケースです。
解析対象は人間が制作した動画および生成AIが制作した動画、計30本で、総計31,500フレームに及ぶAI画像解析を実施しました。
データが示すOOH広告の真実:環境別の最適素材が異なる
分析の結果、インプレッションという「量」だけでは捉えきれない、メディア効果の真実が浮き彫りとなりました。1,000インプレッションあたりの合計アテンション秒数を示す「APM」と記憶定着率の間には、r=0.45~0.88という極めて高い正の相関が確認され、APMの最大化がブランド想起を促すためのKPIであることが実証されました。
特定の環境で高いパフォーマンスを示すクリエイティブが、他の環境でも同様の結果をもたらすとは限らないことが判明しており、TV環境で高い注視を得た素材が、OOH環境では機能しないケースが見受けられます。制作手法の差として、TV環境では人間制作の動画が優位性を示す一方、屋外ビジョン等ではAIによる「風景の中での目立ちやすさ」が注視を誘発する傾向が確認されました。
冒頭1秒の戦略性、環境ごとに異なるクリエイティブ戦略が必須
屋外や車内では冒頭1秒の引き込みが全編の視聴を左右する一方、駅構内では負の相関(r=-0.27)を示しました。これは、歩行中の環境では「じっくり見せる」フックよりも、1~2秒でブランドを認識させる「ワンショット・ブランディング」が必須であることを意味します。この研究で得られた評価手法・指標が業界標準として整備されることで、単なる露出の積み上げではなく、生活者に寄り添った広告コミュニケーションが進化することが期待されています。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000055.000077456.html