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せきしろの自由律俳句 第62回「朝」結果発表

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川柳・俳句・短歌・詩
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せきしろ自由律

【自由律俳句とは】

自由律俳句は定型にこだわらず(定型ではなく)、しかし、リズムはある俳句。

情景を切り取り、その中に心情を込めてください。

 

結果発表

第62回 課題:朝

 

せきしろの一句

小柄な老婆が道を掃いて朝になる

 

最優秀賞

脱ぎ捨てた服が光ってる

(大阪府 まちこまち 17歳)

朝の眩しい光に照らされる脱ぎ捨てた服。ほとんどの人がそんな光景を確かに見たことがあるはずだ。朝の着替えで脱ぎ捨てられたのか、疲れ切って脱ぎ捨てたまま寝てしまったのかはわからないが、すがすがしい朝の空気がこれでもかというくらい伝わってきてクラクラする句だ。

 

 

優秀賞

時間はあるのに走る

(神奈川県 森栖川瑠蘭 19歳)

早く学校に行って遊びたいがために走ったこともあった。友達と一緒に登校するために走ったこともあった。憧れの誰かの姿を見たいだけで走ったこともあった。朝走るのは決して遅刻しそうな時だけではなかったことを思い出させてくれる句である。

 

 

誰にも吸われていない空気がつめたい

(兵庫県 田中美沙妃 30歳)

夜の暗闇が少しずつ群青色になって、その青色が薄くなり、徐々に朝になっていく。外に出れば誰もいなくて、ひんやりとした朝の空気を独り占めできるのである。特に台風が去ったあとの朝の空気は、季節が変わっていくことを教えてくれて、いつでも独り占めしたくなる。

 

 

佳作

雨のときは夜の続き
(大阪府 反時計 22歳)

高速バスに乗る日だけ見る朝焼け
(香川県 ななか 26歳)

もう並んでいる人がいる
(大阪府 カメコリー 46歳)

間に合わないのでゆっくりと食べる
(新潟県 胡桃 31歳)

ごみ袋が異様に重い
(東京都 えすた 27歳)

接着剤を信じて寝る
(長崎県 毎日ハッピ― 45歳)

朝を追いかける飛行機がいく
(千葉県 xissa 56歳)

春休みまだ一度も朝日に会ってない
(東京都 抹茶 18歳)

寝過ごして快晴
(島根県 橘 19歳)

昼には忘れているラッキーアイテム
(福島県 きりんのき 20歳)

トーストに余裕を塗る
(大阪府 アイスカフェラテ 20歳)

弁当のおかずを先に知る朝
(大阪府 春日井菖 21歳)

ギアを上げる卵かけ納豆ご飯
(静岡県 タラアナ 24歳)

雀ではない鳥が来ている
(鹿児島県 さやか 32歳)

法事の残りを食べている
(岡山県 白とり貝 32歳)

旅館の天井だと気付くのに数秒かかる
(北海道 エリンギ 34歳)

起きてまた自分
(東京都 しまこう 34歳)

朝のバターロールを一つ減らす
(大阪府 パスカ 34歳)

この頭痛はどっちだろう
(埼玉県 偏粘倫 37歳)

夜を超えて生き延びたチョコが机に
(東京都 こね鉢 39歳)

味噌汁の椀が滑っても黙っているふたり
(大阪府 石川聡 40歳)

貸し切りの公園を走る
(宮城県 もと小学生 43歳)

 

今月の総評

『雨のときは夜の続き』は視界を灰色にしてくれる句だ。眩しい光に包まれるのが朝であり、そうでなければ夜の続きだという感性は灰色なのに美しい。『高速バスに乗る日だけ見る朝焼け』という句に、朝イチの飛行機に乗らなければいけない時くらいにしか朝焼けを見ない私は共感してしまう。まだ若かった頃、朝まで飲んでた頃は朝焼けを頻繁に見ていたのだが。『もう並んでいる人がいる』は、まだ誰も並んでいないだろうと思って行くと結構並んでいた時の焦りを思い出させてくれる。始発で来るべきだったと後悔もさせてくれる。『間に合わないのでゆっくりと食べる』の堂々とした諦めはまったく嫌いでは無い。『ごみ袋が異様に重い』と感じる時はたまにある。大掃除した時や出し忘れてしまった時を思い出す。『接着剤を信じて寝る』は夜の自分を詠んでいるのに朝というテーマから離れていないのが凄い。『朝を追いかける飛行機がいく』はなんだか良い一日になる気持ちにしかならない句だ。

 

プロフィール

せきしろ

1970年北海道生まれ。俳人、コラムニスト。芥川賞作家でお笑いタレントの又吉直樹との共著『カキフライが無いなら来なかった』『まさかジープで来るとは』『蕎麦湯が来ない』のほか、『たとえる技術』などの著書がある。

 

イラスト:飯田研人/撮影:賀地マコト

募集要項


自由律俳句は、定型(五七五)ではない俳句です。定型ではありませんが、どこかリズム(律)のある句を募集します。句読点は使わず、俳句らしい味わいを意識して、心にしみるような情景、共感できるような情景を切り取ってください。俳句のもとは俳諧ですから、滑稽味があってかまいません。しかし、笑いだけではなく、しみじみ、ペーソス、人間くさいといった句を期待しています。

 

応募規定

定型(五七五)でない自由律の俳句。

面白コピーの募集ではなく、定型ではない無季俳句。

応募上のご注意

・ペンネームを使わない方は、応募フォームのペンネームの欄に本名をお書きください。

・応募フォームの「年齢」の欄は必ずお書きください。

・応募点数に制限はありませんが、1応募につき1作品とします。

応募規定

作品は未発表作品とし、採用作品の著作権は公募ガイド社に帰属。

応募者に弊社から公募に関する情報をお知らせする場合があります。

最優秀賞1点=5000円(商品券)

優秀賞2点=2000円(商品券)

佳作10点=記念品

公募ポイント

mottomo会員の方は、ログイン後WEBから応募するだけで自動的にポイントがたまります。

応募者全員=5pt追加

【最優秀賞】 さらに50pt追加

【優秀賞】 さらに30pt追加

【佳作】 さらに10pt追加

※応募者全員ポイントの付与は各回ひとり1回までです。

※ポイント付与は結果発表の時期に行われます。

募集中のお題

第64回「返事」

応募期間 ~5月20日

 

第65回「紙」

応募期間 5月25日~6月20日

発表

第64回 2022年7月15日 WEB上

第65回 2022年8月15日 WEB上