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つくログ

増田肉うどん
2025/08/02 15:41
こんにちは！私も落選供養に参加させていただきます。個人的な反省点としては「展開を詰め込み過ぎ」「『と言った』を使いがち」「途中から三人称から一人称にしたけど、違いがあまりわかってない」などでしょうか。一行でも読んで下されば、この作品も浮かばれると思います。 #第46回どうぞ落選供養（微妙に修正しています）　頑固親父の最終試験　綾子が緊張しているのは俺の目から見ても明らかだった。何度も手鏡で身だしなみをチェックしては、深呼吸を繰り返している。　恋人の実家に結婚の挨拶に来たのだ。緊張するのも無理はない。「じゃあ、行こうか」　何年ぶりかの実家の玄関を開けると、親父が腕を組んで仁王立ちしていた。「ひゃっ！？」　綾子が叫び声をあげる。　身長190㎝近くの筋肉質のスキンヘッドがいきなり現れたのだから驚くのも当然だ。「け、慶太さんとお付き合いさせて頂いています、久世綾子です」　慌てて綾子が頭を下げる。　親父はそんな綾子の様子を一瞥すると「上がりなさい」　とだけ言って、廊下の奥に消えていった。　青ざめている綾子を見て、これは厳しい戦いになりそうだな、と確信した。　母親が亡くなったのは俺がまだ物心つく前のことだった。それ以来、男手一つで育ててくれたのが親父である。決して裕福な家庭ではなかったので、高校卒業後はすぐにでも働くつもりだった。だが「それがお前の本当にやりたいことなのか？」　と言われ、ハッとした。　今まで育ててくれた親父に恩返しすること。少しでも楽な生活を送ってもらうこと。それこそが本当にやりたいことだった。　幸い、就学支援制度と奨学金のおかげで、比較的安い学費で大学に進学できた。　大学卒業後は銀行に就職。本当は実家から通える範囲の就職先を選びたかったが「男なら上を目指せ！」　という親父の口癖に従って、大手銀行に入行した。　綾子と知り合ったのは社会人になって6年目の春。　近くの山に趣味のバードウォッチングに来ていた綾子に「何をそんなに熱心に見ているんですか？」　と話しかけたのだ。「メジロです。とってもかわいいんですよ」　ほら、と目線で促す先にはメジロがいた。しかし俺は隣で微笑む綾子から目が離せなくなっていた。　それから俺と綾子が恋人になるまで、そして結婚を決意するまでそれほど時間はかからなかった。「結婚後は父と一緒に暮らしたい」という俺のお願いにも、綾子は優しく頷いてくれた。　親父も当然、喜ぶだろうと思っていたのだが、綾子の家柄を聞いた瞬間、態度が急変。「その子はうちに相応しくない！」などと言い始めた。　電話で説得しても埒が明かない。　なので綾子とともに直接、結婚の挨拶に来たというわけ。　座卓を挟んで俺と綾子、そして親父が向かい合う。目の前にはお寿司と冷たいお蕎麦。「さぁ、好きに食べてくれ」　とは言ったものの、親父は手を付けず、じっと綾子の方を観察している。寿司の横にはチューブのワサビ。しかし残りは僅か。これは「例のあの技」を使わないと絞り出せないだろう。　綾ちゃん、頑張って！　と横目で念を送る。　綾子がチューブを端からくるくると丸めていく。そして「ふん！」と残り少ないワサビを絞り出した。相当、力を込めたのだろう。顔は真っ赤で、はぁはぁと息切れしている。　その様子を見て親父が少し口角を上げたが、厳しい表情は崩さない。「ならこれはどうする？」　今度は蕎麦を勧めてくる。　そう来るのは予測していた。俺はニヤリと微笑む。今こそ、練習の成果を見せる時だ！　「ずぞぞぞぞ！」と豪快に音を立てて綾子が蕎麦をすすった。　ナイスだ！　俺は心の中でガッツポーズした！　綾子は代々、政治家や文化人を輩出している旧華族の出。つまりは「本物のお嬢様」である。　その家柄を聞いて完全にビビってしまったのがうちの親父。「おいおい、俺は足で冷蔵庫を閉めて、屁で返事するような男だぞ！　そんなお嬢様ととてもじゃないが一緒に住めねぇよ！」「大丈夫。綾子は気にしないって」「いや、不安だ。無理だ。今度、そのお嬢様を連れて来い！　俺が試験してやる！」　そんな経緯があって、綾子がお嬢様らしからぬ音を立てながら蕎麦を食べているのだ。懸命に頬をへこませ、蕎麦をすすっている綾子を見て親父がふっと笑った。「降参だ。俺の負けだよ、綾子さん」　酒が入って口が軽くなった親父が教えてくれた。「一緒に暮らすなら亡くなった母ちゃんのような豪快な人」と考えていたらしい。ただ必死に蕎麦をすする綾子を見て「この子となら笑顔の絶えない家庭になりそうだ」と見方を変えてくれたようだ。「なら私と一緒に暮らしてくれるんですか！？」「もちろんだ。これからよろしく頼むよ、綾子さん」　ヤッター！　と綾子が万歳し、そのまま両手で俺とハイタッチ。「なら祝杯と行くか。慶太から意外とイケる口って聞いてるぞ」　親父が「さぁ、一杯！」とお酒を勧める。　お酒！？　それはマズい！　早く止めないと！　と思った時には、綾子はお嬢様とは思えない俊敏な動きで既にコップに口を付けていた。「あはは！　さぁ、お父様ももっと飲んでくださいよ！」　綾子が親父の肩をバシバシと叩く。アルコールは綾子をお嬢様からただの酒好きへと変えてしまうのだ。ただ綾子にじゃれつかれている親父も満更ではなさそう。　そう言えば俺が生まれる前は「夫婦でよく晩酌してた」と言ってたっけ。「慶ちゃーん、来週はうちの家族と食事会だからね！」　すっかり忘れていた。しかも綾子が行くような店だから、当然、超高級店だろう。　親父がまるで「次はお前の試験の番だな」と言わんばかりの顔でニヤニヤとこちらを見ている。　望むところだ！　と言いたいところだが、俺には1つ、大きな不安があった。　パスタってすすっていいんだっけ？（了）
時雨
2025/08/02 14:28
こんにちは。私も参加させていただきます。アドバイスや感想などもよかったらお聞きしたいです。どうぞよろしくお願いします。 #第46回どうぞ落選供養　人生の終着点「おふくろ…」　母が危篤きとくとの報せを受け、俺は駅へ急いでいた。実家へ向かう新幹線の中で、小さい頃の思い出が走馬灯のように思い起こされる。　母が同じドラマを何度も見ていた背中や、夜遅くにご機嫌で帰ってきた事、父が誕生日ケーキと称して縦長のフルーツケーキをいつも買ってきた事、俺が小学生になりたての時に重機によじ登り、頭から落ちて二針縫う大怪我をし、母が泣き崩れた記憶などが脳裏を駆けめぐった。　*** 　ピ、ピ、ピ、…と、心電図のモニターが音を立てていた。呼吸器をつけ、腕にも細い管を何本もつけた彼女は、ベッドに横たわって目を閉じている。　声をかけると、わずかにまぶたが動いたような気がした。　俺の母は、あまりいい母親とは言えなかった。朝は俺が小学校へ行った後に起きてきて、部屋も脱いだままの服などが散らかっていた。家の中はどんよりと暗い雰囲気だった。　彼女はその頃流行っていた韓流ドラマにハマり、同じファンの人たちに会いに行ったり、夜も出かけて、一人きりで家に置いていかれたりした。料理も下手で美味くないし、何か欲しい物をねだっても「今度ね」と言って結局買ってもらえない。　それで家が嫌になって、大学へ入った後、一人暮らしを始めた。何でも自分の自由にできるという状況は生まれて初めてで、楽しくてたまらなかった。　バイトはしていたけれど、お金が足りなくなり「入金してほしい」と頼む時だけ実家へ電話した。　母は文句一つ言わず送金してくれた。やがて何とか就職し、まとまった給料がもらえるようになると次第に疎遠になる。里帰りも、数年に一度すればいい方だった。　やがて、病弱だった父を見送り、母一人きりになるとさらに気楽になったようで、前よりもっとのびのび生活しているようだった。　部屋もかなり片付いて家の中が見違えるように明るくなり、料理も前より上達して美味しくなっていたので内心驚く。けれど帰省の理由には及ばず、相変わらず「元気？」と電話をもらっても、ほとんど折り返しの連絡をしていなかった。　年齢もあって彼女はしだいに弱っていき、入院する。ある日の事、俺の携帯に連絡が入った。　血相を変え、電車や新幹線を乗り継いで駆けつける。「おふくろ！」と呼ぶと、「お静かに」と看護師に注意された。「すみません…」　小さくなりながら謝る。すると、うっすらとまぶたを開ける。「……さとる？」「ああ、そうだよ」　まだ生きていてくれた、と少しホッとする。「来てくれたの」「当たり前だろ！」　声を上げると、再度注意された。ふふ、とおふくろは笑みをこぼす。「もしかしたら…、一人で死んでいくのかなって思ってた」「俺ってそんな薄情に見えるのか」「そうじゃなくて…」　ピ、ピ、…と機械が鳴っていた。「お母さん、あまり良い母親とは言えなかったじゃない。だから――そうなっても自業自得かなって」と、目を閉じた。「なあ、まだ行かないでくれよ！」　思わず声をあげる。看護師がハア、とため息をついた。「勝手に殺さないで」と少し苛立(いらだ)ったように言う。「あなたには、いろいろ我慢させて悪かったわね」　何だよ、分かってたのかよと思った。「いや、俺も卒業してからはなかなか帰らなかったし… 努力してほしいとは思ってたけど」「あなたが出て行ってから、反省したのよ。それで料理の練習をしたりしてね。サイトを見たり、本を買ってきて何度も作ったり。掃除も、少しずつ要らないものを処分して、模様替えしてみたの」「おからの炒いったやつ、美味くなってたよ」「そう、嬉しいわ。もっと帰ってきて欲しくて頑張ったけど、なかなか帰ってきてもらえなかったわね。ごめんなさい」「そんなことないよ。いいお袋だった。小さい頃はダメダメだったけど…」「そう……よかった」と、弱々しく笑う。「でもね、あなたが『お金を送って』と言ってた頃、最後の方はけっこう苦しくてね。清掃のパートで働いたりしてたのよ」　そんな事をしていたなんて、全然知らなかった。もっと連絡すれば、すぐ分かる事なのに。「……ごめん。俺も落第かも」「いいのよ。子どもは親に頼るものなんだから」　そう言って目を閉じた。　その後彼女は意識不明になり、数時間後に亡くなった。　数日後、葬儀を行い、俺は焼却炉から立ち上る白い煙をぼんやりと眺めている。　もっと電話をしたり手紙を送ったりすればよかった、顔を見せに帰ればよかった。もっと、優しい言葉をかければよかった。お袋の事だからまだまだ長生きするさなんて、根拠なんかないくせに会うのを先延ばしにしていた。　初任給をもらった時に、何か買ってあげたりしただろうか。いや、していない。「薄情だな、俺も――」　親孝行なんて、本当に数えるほどしかしなかった。後悔なんかしたって、亡くなってしまったらもう何もできないのに。　まだ肌寒いけれど、新しい緑や小さな花が咲いていて、春の兆しが見える。「お袋、天国へ行けるかな…」　少なくとも及第点は取れたんじゃないかな。俺とは違って、と思いながら、葬儀場を後にした。　　　　　　　　　　　　　　　　　　了
ゆうぞう
2025/08/02 14:07
かずんどさん「試験脳のテレパシー」読みました。さすが、かずんどさん、「試験脳」なんてどうやったら思いつくんでしょう。主人公が安易に「頭の中の声」に頼って正解を教えて貰うだろうと思ったら、あれあれ主人公はそれを断ろうとする。いったいどこへ行くのか。まったく先が読めませんでした。
ゆうぞう
2025/08/02 13:59
齊藤想さん「エクソシストvs悪妻」読みました。いやあ、まったく見抜けませんでした。「もう三年になるんだなあ」　それを言われると、香澄はつらい。この二行からの転調、面白すぎます。
ゆうぞう
2025/08/02 13:46
karaiさん「必勝鉛筆」読みました。ラストのオチには思わずニヤリとしました。とてもいいオチですよね。ただ気になったのは、真正の六角形の鉛筆が完成しているなら、泥棒が持って行ってもかまわないですよね。量産できるのだから。なぜ、博士は「あっ、それはダメだ。それだけはダメだ」と言ったのでしょう？

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