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藤宇

#第35回どうぞ落選供養 こんにちは。落選供養初投稿です。前回締め切りの時間に8分間に合わなくて応募できなかったものを投稿させていただきます。字数も少なかったのですが、どうぞよろしくお願いします。 お題「すごい」 タイトル ある瑣末(さまつ)な出来事  ある日、大きな台風が日本の南方に発生した。それはとても巨大で、ゆっくりと北上していった。速度がとても遅いため、気圧も低く九州に上陸するとその地域だけでなく、関東や東北にまで大量の雨や暴風が起こった。  その頃日本では、米不足が起こっていた。大きな地震が起きたり、他にも台風が来たので、災害に備え備蓄米を買う人が増えたり、円安で外国人が観光に来て、飲食業界で米の需要が増えたりしたからだった。  9月には米が収穫の季節を迎えるため、米不足が解消されると報道されていたが、その予想はこの台風の発生により見事に打ち砕かれた。  川は氾濫し、その水が田んぼに流れ込み、稲は流された。  キャベツやレタス、にんじんなども高騰し、他の野菜も釣られて値上がりする。円安もあり、シングルマザーやワーキングプアの人はもちろん、多くの国民の生活は困窮した。  神はそれを見て「なるほど」と言った。  その頃、日本の遥か西の方で戦争が起きていた。ある大国が近隣の某国に攻め入っていた。その国は小さかったが資源の豊かな国だったので、大きくても資源があまりない大国としては、占領して自分のものにしたかったのだ。  小国は必死に抵抗し、世界の多くの国がその国に味方について資源を小国に提供したので、その争いは長引いた。けれど、小国が負けたら第三次世界大戦が起きるかもしれない。その国や他の応援している国は必死に抵抗した。  神はそれを見て「そうか」と言った。  その頃、南の方でも難民問題で争っている地域があった。ある人々が国を追われ難民となり、戻りたがっていたが、すでにそこに住んでいる人たちが反発し、さらに他の国も絡んできて、争っている地に向けて砲撃し、問題が複雑化する。また、難民は何十年以上も国を彷徨っていたのでその子どもが産まれ、またその子どもたちも生まれて年々増えていった。国がないので戸籍がなく、そのせいで満足な職に就けないため生活が成り立たない。彼らは人並み以下の暮らしを長い長い間強いられていた。  けれど、和平を望む人たちが妥協案を出し合い、泰平に向かうかと思われた。しかし、ある重要な右派の人物が、問題の国の聖地に足を踏み入れてしまう。礼拝中だった教徒は、その人物を見て暴徒と化し、彼とその周りの者達に襲いかかる。警察が力ずくで鎮圧したが死傷者が出て、それをきっかけに激しい衝突が始まり、和平への希望があっという間に崩れてしまった。  町中で市民の乗り物に爆弾を仕掛けるテロが起きたり、反撃で相手方の拠点を空爆して応酬する。それが近隣国に飛び火し、争いが広まっていった。  それとは別に大国同士が争い、第三次世界大戦が始まる。双方のミサイル攻撃により世界が焦土と化した。人間はほとんど滅亡し、海は干からび、建物は瓦礫となった。荒地となった大地には動く物はほとんどいなくなり、緑は跡形もなくなった。  死の惑星となった地球を、別次元の銀河系の調整をしていた神が数年後に見て 「おや、ずいぶんすっきりしたなあ。では、新しい知的生命体でも誕生させるか」 とつぶやいた。

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