使い方が全く分からないのよ 今見た 迷子名人戦にイイね付けたかったけど そのショートストーリーもどこ行った?
- 名無しのクリエイターENBU
- 名無しのクリエイターENBUへの返信名無しのクリエイターENBU
嗚呼、ありがとうございます😊とにかく、スマホの使い方が分からないので御迷惑お掛けしました。
- 名無しのクリエイターENBU
第35回 高橋源一郎「小説でもどうぞ」 課題「名人」結果と講評 落選したのも忘れてた! 面白いんだけどな? どうですか? 使い方がさっぱり分かりません(ノД`)シクシク #第35回どうぞ落選供養 これで良いの? 愛す 小さな保育園。その壁の片隅にダンボール製いた保育士さんは、額にコピー用紙をカタリと落として、室内の明かりをパチンと消した。 それまで大人しくしていたコピー用紙が口を開く。 「電気消されて真っ暗だ。嫌だね、嫌だね、暗いのは嫌いだよ。あたしって言うか、あたしたち再生族はどっちかって言うと、白熱灯のコウコウとした、ざわざわしている環境がお似合い。 みんな気の良いおしゃべりな集まりさぁ。あたし達ペラペラだもんね。 DARK 、DARK DARK、 DARKなのは寂しいよ。余計なことをつい考えちゃう。 どうなるのかねぇ〜、あたしたちの業界は森林破壊反対!!なんて騒がれて、リストラの嵐。風前の灯だ。 あたしもさぁ〜、どうせ紙に生まれたなら、和紙族に生まれて、大切にされて、すまし顔で、高級文具店のショーケースに、収まって居たかったなぁ〜、 そうすりゃあ、運が良ければ、紙族、違う、モノ族全て、誰も彼もが憧憬する奈良正倉院宝物殿に飾られるまで、登り詰めて、ワシがワシがって、威張っていられたかもなぁ。 だっていうのにさぁ〜、あの保育士ったら、もう5回再生されているから、真っ白とは言えないけれど、そこそこ白い私の腹に、油性マジックしかも黒で、大きな3文字を書いたね。 これじゃあ汚すぎるって、再生されないかも?そしたらこうして生きているままで、あたし焼かれて、灰になって、最後は汚泥になっちまうんだ。嗚呼、恐ろしい…そんなことを思うなんて、あたし、長生きしすぎたかな? 暗い話を考えていたら、なんだか腹の文字たちがガサゴソ始めたよ。ここは一つ今生まれたばかりの彼らの様子でも見るとするか… コピー用紙の腹に黒々と書かれた文字の子、アーちゃん、イーちゃん、スーちゃんは、互いの顔を見合わせた。 アーちゃんが隣のイーちゃんに 「ねえねえ、君は誰?どっから来たの?」と話しかけた。 イーちゃんはいかにも神経質に目をパチクリして、 「僕?僕に聞いているの?僕は胃のイだよ。だから食べ過ぎ、飲み過ぎ、そして一番悪いのはストレス!! だっていうのに、ここは暗くて、今、ストレスマックス!! そう言ってイーちゃんは長く伸びたアゴを丸めて 「それに僕がどっから来たかって?そんなことを急に聞かれて答えられるモノなんていやしないよ!!僕らはいつだって意識した時からそこに居る、それ以上のこと分かるようにはできていない、たぶんね…ところでそういう君こそ誰なんだい?」 アーちゃんは、ちょっとばかし自慢気に 「僕はアだよ…知らないの?生まれて間もない僕らだけどさ、日本語の頂点に立つ母音のアだよ!!僕を知らないなんて、君は文字界の潜りじゃないの?」 イーちゃんは自惚れているアーちゃんにイラッ!!として 「なんだい!!そんなことは聞いちゃいないよ、でも君がそういうのなら、僕だって日本語の母音族イとしての誇りはあるさ!! アーちゃんは意地悪な顔をして 「永久不滅の2番手だよね」と言って笑った。 やれやれ喧嘩かと思ったら、スーちゃんがオジオジと止めに入った。 「喧嘩なんてやめようよ、僕は母音族でないオーディエンスの子音族、いつも憧れていた二人が争う姿なんて見たくないんだ」 アーちゃんとイーちゃんは、気恥ずかしくなって俯いた。 イーちゃんは目をパチクリして 「ごめんね、僕、ついカッとして、でも僕らは子音族がいなければ、役立たずって分かってる…」 アーちゃんも「僕が悪いんだ、生まれたばかりで、はしゃいじゃったんだ… スーちゃん君は素敵だなぁ…、だって子音族だけで、酢飯、すき焼き、ステーキ、スポンジケーキって、 美味しい言葉に変身できるのだもの…僕らなんてさ、母音族、五文字じゃあ、美味しくなれないよ」 スーちゃんは 「ね、僕らが今日生まれて、3人並んでここにいるって、何か意味のあることなんじゃない?」 スーちゃんは少し元気になって言った。 イーちゃんもスーちゃんに賛成して 「そうだね!!僕ら3人がこうして揃っているのは、生まれとか育ちで、いがみ合うためじゃないかもしれない…ね、アーちゃんはどう思う?」 そう言われてアーちゃんは少し考えてから 「そうだ!!僕が誰であるか、君が誰であるか知るために、僕ら、名前を名乗ってみるのはどうかな?」 アーちゃんとスーちゃんはナイスの仕草をした。 そしてアーちゃんから順に名乗りを上げ、3人は自分たちが「愛す」だと知った。アーちゃんはやや興奮気味に 「愛だけじゃない!!僕らは愛す、愛す、愛すために生まれてきたんだね!!」 イーちゃんもスーちゃんも、うんうんと頷き文字文字しながらも 愛す、愛す、君を愛す〜」と声を出し、最後には3人で愛すの大合唱。 歌を歌って疲れた三人はそのままスヤスヤと眠ってしまった。 この様子を見ていたコピー用紙は 「あー違うよね彼らはカタカナのアイスであって愛すじゃない愛すは暖かいかもしれないけれど 彼らは冷たいアイスつまりさ、保育園の明日のおやつはアイスなんだよ、うん?待ってよ、子供達はアイスが大好き、子供達はアイスを愛するんだから 彼らそう間違ってもいないかな?」 コピー用紙はそう言ってニヤリとした。やがて夜が空けて小鳥たちがおはようとおしゃべりを始め、コピー用紙もぱさりと眠りについた。 昼近くになりザワザワとした声で目覚めたコピー用紙たちは、子供たちが自分たちの目の前に立って目を輝かせていることに気づいた。 子供達は「今日のおやつはなんと書いてあるの?」と興味湧くわくわく 保育士さんが額の前に立って「誰かこの字読めますか〜」と子供たちに聞いた。 子供の一人が手を上げて「アイス!!」と嬉しそうに声をあげた。すると、他の子たちも一斉にアイス、アイスと続けた。 保育士さんは「今日はどんなアイスかなー?」と子供達に笑いかけ、彼らは園庭へと行ってしまった。 この様子を見ていたアーちゃん、イーちゃん、スーちゃんは、「僕らは子供たちに愛されるアイスだったんだね!!」と気付いてまた嬉しい気持ちに満たされた。 やがてアイスたちはキラキラとした知の光となって、子供たちの甘い記憶へと姿を変えた。 自分の来し方を気に病んでいたコピー表紙は見事6回目の再生を果たした。彼はやがて自分が、再生工場の展示室に展示されるさだめであることを今はまだ知らない。 おしまい