斎藤 望さん 私の文体って特徴的だったんですね…! そう考えると好き嫌いも別れやすいというところなんでしょうかね?添削者さんの相性では本当に悪かったのかも知れませんね… 基礎的な部分はクリアーしてくれてると言われて勇気がでました、取り敢えず自分のやり方で頑張ってみます! みぞれさん 楽しんで読んでいただけて嬉しいです! 添削講座を調べたら、真っ先に出てきたのはココナラなどのサイトだったのですが、お値段は結構するのですね…でも納得のいく添削でボロクソに言われるなら、確かに素直に書き直せそうですね。 個人間でのやり取りならきちんと下調べが出来るので、良いかも知れませんね。
- 金子一への返信金子一
- 金子一への返信金子一
斎藤 想さん初めまして、コメントありがとうございます! 添削で結構ボロクソに言われたので、楽しんでもらえてとても嬉しいですw
- 金子一
人生で初めて応募したので、自分の書いた作品の良し悪しが全く分かりません。 ですがせっかく書いたので駄文だったとしても供養したいと思います。 「んー、いいでちゅねー可愛いでちゅねー」 そういって私の方に向かって下手くそなキスをするかのように唇を尖らせて、猫撫で声で私の気分を害しながらも上機嫌でキャンパスに筆を走らせているこの男は、一応その道を志す者にとっては誰しもが名前を聞いたことがあるような、いわゆる巨匠と言われるような大御所である。しかしその実態は。 「いやぁ〜ん可愛いでちゅねー。あ、今動きそうにあったでしょ、動いたらただじゃおかないよ」 私が相手だから大人しくしているものの、そうでなければ他の人ならこの気持ち悪い言葉遣いにとうの昔に投げ出して帰っているところだ。そのうえ2時間も同じ姿勢で、しかも休憩無しで座っているので足は痺れてもう感覚は無いのに、この男はちょっとでも楽な姿勢にと身体をもじろうものなら、先ほどのように無駄に高圧的な態度をとってきて、それがまた余計にこちらの神経を逆撫でする。それでもいい加減疲れてきた私は、また猫撫で声で喋りながらチュッと唇を鳴らして投げキッスをしているこの男に休憩を申し出る。 「すいません、少し休憩しましょう」 私は先ほどのようにイラついた態度を取られる前に、早口で言葉を投げつけた。それを聞いたこの男はまるで汚物でも見るような目で私を見下して、明らかに聞こえるように舌打ちをしてきた。そして私の言葉など初めから無かったかのように、またご機嫌を取るように気持ち悪い声を出しながらキャンパスに筆を走らせる。キレそう。 更に1時間程経過して、疲れを通り越して眠気に襲われ始めた私は、どうにかしてこの男にバレないように欠伸を噛み殺した。しかし私に興味がないくせに妙に目ざといこの男は心底軽蔑したような目で、しかも明らかに目を合わせるのすら嫌そうな顔をしてこちらを向いて言葉を吐き捨てる。 「お前のような堪え性のない奴は初めてだ、それに比べて自然は良い…まるで心を写す鏡のように描くものの心がそのまま絵に現れる。そう思いまちゅよねー、うんうん、んーきゃわわ!」 そうなのだ、この男は元々自然風景の分野でなの知れた画家なのだ。しかし最近この男の事を真っ向から否定した評論家がいたのだ。とは言えそれは本当に弱小な雑誌の、しかもその評論家自体も名前も知らないような人の批判を、この男はどこでその情報をキャッチしたのか、出版社にまで直に足を運んでその猛抗議をしたらしい。これだけならこの男の単なる奇行なのだが、どうやら自分は自然風景画以外でも実力があると豪語して、次の画展には風景画以外も展示するから観に来い!と言ったのが昨日の話で、画展は明日である。 そんな中どんな過程で私の話を聞いたのか、唐突に私に白羽の矢が立ち、本来は名誉なのだが数時間前からその名誉を投げ捨てたくなるくらい後悔するような拷問に遭っている。 「君みたいに大人しくてキュートで、自然にも負けないくらい魅力的な子は本当に初めて!ギューってしたくなっちゃう!」 この男はそう言いながら何回も唇を鳴らしつつ、キャンバスと私の方を交互に見て順調に描き進めている。 これだけの苦痛を味わいながらも、私も絵描きの端くれなので、なんのかんの言ってこれだけなの知れた巨匠の描く、初めての風景画以外の作品に興味が無いわけではない。私もこの男の風景画を見て涙するほど心を動かされた事もあり、自分がその人の初めての作品に携われることは当初は誇らしく思い、周りの友人知人から羨ましがられたのだ。 今なら学食1週間分奢るので誰か代わって欲しい。 作品も佳境に差し掛かってきたのか、あの吐き気を催す猫撫で声も徐々に鳴りをひそめ、真剣な目つきで被写体とキャンバスを交互に往復させる。その姿勢に私も自然と手に力が入りそうになるが、ここまでの苦行を台無しにしてはならないと思い、こちらの緊張が伝わらないように平静を保つことで精一杯だった。 もう時間を気にする事なく、お互い自分の役割を全うするべく集中している。私の気持ちが相手にも伝わったのか、以心伝心で作業が進んでいき、それからどれくらい時間が経っただろう。 「完成だ!これであのクソ生意気な評論家風情をこれでもかと見下してやる!」 私は息の詰まるような時間から解放されて一つ大きく息を吐く。そして膝の上でずっと大人しくしていた飼い猫のモモを労わるように頭から腰までゆっくり撫でてあげた。モモは私の膝に乗っかると余程落ち着くのか、私が動くまでピクリともせずずっと喉をゴロゴロ鳴らしているのだ。 モモの絵が会心の出来だったのか、狂喜乱舞して飛んだり跳ねたりしているこの男を尻目にモモを抱き上げたままキャンバスを覗き込んだ。 「……下手くそか!」 モモの絵は数時間かけて描いたとは思えない児戯のような落書きにしか見えなかった。それを見てモモは何かを思ったのか、椅子の上に飛び降りてキャンバスで爪を研ぎ始めた。 「あぁ!やめてモモちゃぁん!でもこれはこれで味があるかもぉん!」 次の日の画展ではモモの絵は非常に好評だったらしく、猫の爪痕が実際に残っているのが、自然風景画を得意とする作者としての味があると評価されたらしい。 #第36回どうぞ落選供養