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未瑛

テーマ詠「調味料」

  • 柴田葵のコメント

    ドキッとする一首。「何にでも七味をかけてたあの人」は、辛ければ何でもいいや、という雑なタイプなのかもしれません。そんな「あの人」は、今ごろ自分ではない「別の女」と食卓を囲んでいるんだろうなあ、と思いをめぐらせる内容です。 別の女のところにいる「あの人」は料理の味もわからない雑なヤツだ、と見切りをつけている風でもありますが、「あの人」が七味をかける癖を私は知っているんだぞ、という優越感も感じられます。どろどろとした絶妙な機微を描いています。 「自分で作ったマフラーを巻く」の音数は8音・7音です。「自分で編んだマフラーを巻く」とすれば、より自然な表現になり、音数も7音・7音で短歌の定型に収まります。けれども、あえて「自分で作ったマフラー」とすることで、あまり上手ではない手作りマフラーが思い浮かびませんか? 初心者ながら一生懸命マフラーを編んだのでしょう。手編みのマフラーといえば、昔から恋人へのプレゼントのアイコン的存在です。恋に破れたのか、はたまた、恋など必要ないという決意なのか。孤独のなかに強さを感じる一首でした。

このコンテストの結果発表

vol.39 テーマ詠「調味料」結果発表 ~破調をするかしないか~

2023/06/01