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せきしろの自由律俳句 第51回「願い」結果発表

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川柳・俳句・短歌・詩
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せきしろ自由律

【自由律俳句とは】

自由律俳句は定型にこだわらず(定型ではなく)、しかし、リズムはある俳句。

情景を切り取り、その中に心情を込めてください。

 

結果発表

第51回 課題:願い

 

せきしろの一句

境内で遊ぶ子等に神は加われない

 

最優秀賞

鳥居の前でイヤホンを外す

(京都府 NCハマー 44歳)

鳥居をくぐる前にイヤホンを外せば「この人はお願い事をする心構えができていて感心だ」と神様の心証は良くなるだろう。いざ願い事をする時になって慌てて外したり、はたまた一切外すことなく願い事をしたりするより、絶対に有利であり、願い事が叶えられる確率が上がるはずだ。なんてことを考えてしまった時点でダメかもしれない。

 

 

優秀賞

まずは短冊の色から悩む

(愛知県 春丸 64歳)

短冊の色には赤、青(緑)、黄、白、黒(紫)の5色あって、それぞれに意味がある。例えば赤い短冊には祖父母や両親の健康を祈るなどの目上の人に関する願い事を書くのが良いとされている。学業に関することなら黒(紫)だ。なんてことを今さっき知った。だから今まで叶わなかったのだろうか。もっと早く知っておきたかった事実である。

 

 

壁の千羽鶴が部屋に溶け込む

(東京都 稲葉智子 41歳)

千羽鶴はカラフルなものであり、強い願いが込められているし、その存在感は並大抵ではない。部屋に飾られていれば大いに目立つものだ。しかしそんな千羽鶴が部屋に溶けこんでいくのだから、きっと込められた願いが叶う方向へ向かっているのだろう。だから良い意味で気にならなくなったのだ。そうプラスで捉えてみつつも、とてつもなく静かな俳句である気もする自分もいる。

 

 

佳作

引越し先で神社を探す
(埼玉県 せすごてい 46歳)

抽選日は静かにしている
(神奈川県 広瀬誠 60歳)

一口目は何もつけずに食べてと言われて
(岡山県 白とり貝 31歳)

誰も私の事覚えていませんように
(北海道 エリンギ 34歳)

図書館の予約早く来ないかな
(兵庫県 雪月花 15歳)

神社の鈴緒思ってたよりいつも太い
(長崎県 毎日ハッピー 45歳)

背伸びで短冊をかける
(大阪府 あんじょう 32歳)

星を探していて職質
(東京都 根本史紀 50歳)

叶うまでの助走距離
(徳島県 セッドあとむ 48歳)

死にたいけど生焼けは気にする
(兵庫県 金戸環希 18歳)

彗星のごとく現れてみたい
(神奈川県 もと灯台暮らし 23歳)

財布よどうかどうか家にあってくれ
(宮城県 もと小学生 42歳)

家の鍵締めましたように
(広島県 おじや 39歳)

歪な鶴を潜り込ませて九百九十九羽
(群馬県 からっぽ 42歳)

自分が損しない程度の平和
(山口県 松岡哲彦 62歳)

試し書きに「ほしい」とだけある
(大阪府 武内青色 21歳)

そのたびにつかう筋肉
(東京都 路上のたま子 29歳)

薄毛を晒したことによる報酬
(岐阜県 場外 50歳)

頼むよおとフレンドリーな星への願い
(埼玉県 さっちも 49歳)

不老不死の体手に入れ続くリボ払い
(東京都 増田鹿 40歳)

起きたら笑ってくれますように
(大阪府 ツナ・カーン 31歳)

 

今月の総評

『引越し先で神社を探す』は私も何度か経験がある。特に秋以降に引っ越しすると初詣はどこに行こうかと迷う。近場の神社で良いのか、それとも有名な大きい神社があるのか、スマホ片手に探す時間が必ずあるものだ。『抽選日は静かにしている』は、静かにしたところで抽選には影響ないのだが、当事者にとってはどう過ごすかは大きな問題である。当たった時のことを考えすぎるとたいていは当たらないし、かといって外れることばかり考えると「ほら、やっぱり」という結果になるので、できれば何も考えずにこの俳句のように静かにするのが良いのかもしれない。『星を探していて職質』は警官に「なにをしていました?」と聞かれて「星を探していました」と言うことになるわけで、一見ロマンティックに見えて実はさらに怪しくなるだけである。『叶うまでの助走距離』はポジティブな俳句であり、願いが叶わないなあと思っている今はまだ助走距離なのだ。『不老不死の体手に入れ続くリボ払い』は現実と非現実のバランスが素晴らしい。

 

プロフィール

せきしろ

1970年北海道生まれ。俳人、コラムニスト。芥川賞作家でお笑いタレントの又吉直樹との共著『カキフライが無いなら来なかった』『まさかジープで来るとは』『蕎麦湯が来ない』のほか、『たとえる技術』などの著書がある。

 

イラスト:飯田研人/撮影:賀地マコト

募集要項


自由律俳句は、定型(五七五)ではない俳句です。定型ではありませんが、どこかリズム(律)のある句を募集します。句読点は使わず、俳句らしい味わいを意識して、心にしみるような情景、共感できるような情景を切り取ってください。俳句のもとは俳諧ですから、滑稽味があってかまいません。しかし、笑いだけではなく、しみじみ、ペーソス、人間くさいといった句を期待しています。

 

応募規定

定型(五七五)でない自由律の俳句。

面白コピーの募集ではなく、定型ではない無季俳句。

応募上のご注意

・ペンネームを使わない方は、応募フォームのペンネームの欄に本名をお書きください。

・応募フォームの「年齢」の欄は必ずお書きください。

・応募点数に制限はありませんが、1応募につき1作品とします。

応募規定

作品は未発表作品とし、採用作品の著作権は公募ガイド社に帰属。

応募者に弊社から公募に関する情報をお知らせする場合があります。

最優秀賞1点=5000円(商品券)

優秀賞2点=2000円(商品券)

佳作10点=記念品

公募ポイント

mottomo会員の方は、ログイン後WEBから応募するだけで自動的にポイントがたまります。

応募者全員=5pt追加

【最優秀賞】 さらに50pt追加

【優秀賞】 さらに30pt追加

【佳作】 さらに10pt追加

※応募者全員ポイントの付与は各回ひとり1回までです。

※ポイント付与は結果発表の時期に行われます。

募集中のお題

第53回「公園」

応募期間 5月25日~6月20日

 

第54回「青」

応募期間 6月25日~7月20日

発表

第53回 8月6日 WEB上

第54回 9月9日 WEB上