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せきしろの自由律俳句 第50回「買い物」結果発表

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川柳・俳句・短歌・詩
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せきしろ自由律

【自由律俳句とは】

自由律俳句は定型にこだわらず(定型ではなく)、しかし、リズムはある俳句。

情景を切り取り、その中に心情を込めてください。

 

結果発表

第50回 課題:買い物

 

せきしろの一句

売り物なのか訊ねると店員の私物

 

最優秀賞

牛乳を二本買っていたころ

(埼玉県 さっちも 48歳)

尾崎放哉の有名な自由律俳句に『咳をしても一人』がある。「一人」という単語がより寂しさを際立たせる句である。一方こちらの句は「二本」と複数である。それにもかかわらず寂しさが伝わってくる。二本買っていた頃を色々と想像させてくれる句であり、気づくと自分の過去と照らし合わせている句である。

 

 

優秀賞

葱を落としそうな人がいる

(広島県 純米原酒 63歳)

買い物袋やカゴから葱が落ちそうになっている。もしも落としたのなら「落としましたよ」と伝えるだろうが、そうではない。ならば離れたところから見ることしかできない。いや、俳句にすることはできるのだ。この作品のように誰に向けての句なのか、そもそも誰にも向けてないのか、そんな句が私は好きである。

 

 

はちみつを探し回る

(大阪府 イノコダニ 30歳)

実に牧歌的で童話を思い出すようなのんびりした俳句に見えるが、実際ははちみつを買いにスーパーに行ったが、どこになにがわからずに歩き回っている句であろう。初めて行くスーパーではよくあることだ。この辺りだろうと向かってもそこには海苔や煮干ししかない。一方ろうそくや電池の売り場はなんとなくわかる。

 

 

佳作

汗ばんだ小銭と引き換える
(千葉県 xissa 55歳)

答えを出せないパン選び
(愛知県 あさを 37歳)

メモした物だけ先に集める
(熊本県 はならび 25歳)

クレジットカードを読み込んでいる時間
(大阪府 フルカワ 29歳)

買っていいと言われて驚いた
(福岡県 スイカ落とした 62歳)

新鮮な本を選ぶ
(北海道 吉村侑太 35歳)

1パックか2パックか迷う餃子
(神奈川県 ねこはらえみ 40歳)

偶然の再会にカレー粉を忘れる
(静岡県 のに 45歳)

ガム1個すべるカゴ
(長崎県 毎日ハッピー 45歳)

蛇行するカートを修正しながら
(北海道 玉柿 33歳)

驚く顔を思い浮かべて
(東京都 文月 18歳)

下手な袋詰めが傾けた寿司
(東京都 しまこう 33歳)

下着売り場から少し離れて待つ
(京都府 NCハマー 44歳)

古書店巡りした後にふさわしい夕景
(大阪府 だっち 43歳)

仏壇のチラシを見ている
(愛知県 ヘリコプター 38歳)

どう運んでも汁が漏れる
(東京都 青木ポンチ 48歳)

百円玉で雰囲気を買う
(東京都 汐海岬 48歳)

アボカドにも旬があったのか
(東京都 すこやか 24歳)

カート置き場めがけて
(大阪府 ろっさん 40歳)

万引きGメンになる妄想
(岐阜県 次元 29歳)

 

今月の総評

『クレジットカードを読み込んでいる時間』は長く感じる時間だ。もしかしたら不正利用されて枠がなくなっているんじゃないかとか、自分で差し込むタイプの場合は方向を間違えたのではないかとか、暗証番号を間違えたかもしれない、そうだとしたら怪しまれるかもしれないとか、様々なことを考えてしまう時間である。『蛇行するカートを修正しながら』はハズレのカートを選んでしまった時の俳句で、ガタガタする席に座ってしまった時のようである。どちらも自分でコツを掴むしかない。この句の作者はもうコツを掴んだようだ。『下着売り場から少し離れて待つ』からは子どもの頃の自分を思い出し、『仏壇のチラシを見ている』は近未来の自分を想像する。『どう運んでも汁が漏れる』という状態は多々あるもので、持ち上げる前からこぼれている時もある。『新鮮な本を選ぶ』は新しい表現だ。どうせなら新鮮で綺麗な状態の本が良い。『ガム1個すべるかご』は一応かごを持ってはみたが買うものがガムしかなかった時の光景が目に浮かぶ。『カート置き場めがけて』から伝わってくる謎の勢いが好きだ。

 

プロフィール

せきしろ

1970年北海道生まれ。俳人、コラムニスト。芥川賞作家でお笑いタレントの又吉直樹との共著『カキフライが無いなら来なかった』『まさかジープで来るとは』『蕎麦湯が来ない』のほか、『たとえる技術』などの著書がある。

 

イラスト:飯田研人/撮影:賀地マコト

募集要項


自由律俳句は、定型(五七五)ではない俳句です。定型ではありませんが、どこかリズム(律)のある句を募集します。句読点は使わず、俳句らしい味わいを意識して、心にしみるような情景、共感できるような情景を切り取ってください。俳句のもとは俳諧ですから、滑稽味があってかまいません。しかし、笑いだけではなく、しみじみ、ペーソス、人間くさいといった句を期待しています。

 

応募規定

定型(五七五)でない自由律の俳句。

面白コピーの募集ではなく、定型ではない無季俳句。

応募上のご注意

・ペンネームを使わない方は、応募フォームのペンネームの欄に本名をお書きください。

・応募フォームの「年齢」の欄は必ずお書きください。

・応募点数に制限はありませんが、1応募につき1作品とします。

応募規定

作品は未発表作品とし、採用作品の著作権は公募ガイド社に帰属。

応募者に弊社から公募に関する情報をお知らせする場合があります。

最優秀賞1点=5000円(商品券)

優秀賞2点=2000円(商品券)

佳作10点=記念品

公募ポイント

mottomo会員の方は、ログイン後WEBから応募するだけで自動的にポイントがたまります。

応募者全員=5pt追加

【最優秀賞】 さらに50pt追加

【優秀賞】 さらに30pt追加

【佳作】 さらに10pt追加

※応募者全員ポイントの付与は各回ひとり1回までです。

※ポイント付与は結果発表の時期に行われます。

募集中のお題

第52回「好奇心」

応募期間 4月25日~5月20日

 

第53回「公園」

応募期間 5月25日~6月20日

発表

第52回 7月9日 WEB上

第53回 8月9日 WEB上