公募/コンテスト/コンペ情報なら「Koubo」

せきしろの自由律俳句 第49回「写真」結果発表

タグ
川柳・俳句・短歌・詩
投稿する
せきしろ自由律

【自由律俳句とは】

自由律俳句は定型にこだわらず(定型ではなく)、しかし、リズムはある俳句。

情景を切り取り、その中に心情を込めてください。

 

結果発表

第49回 課題:写真

 

せきしろの一句

祖母がチラシで折ったゴミ箱もある

 

最優秀賞

調べようと思って撮った鳥

(東京都 おひょう 22歳)

鳥を撮った理由を述べた俳句である。「なぜそれを俳句にしたのだろうか?」と考えてしまう俳句が私は好きで、この句も例外ではない。誰かに問われてこう答えたのか? そうではなく、誰にも問われてないのに説明してくれたのか? そうだとしたらさらに好きになってしまう。

 

 

優秀賞

庭の雪に犬らが並ぶのを写真におさめ

(岩手県 赤子沢 50歳)

雪が降ってはしゃぐ犬。そこには子どももいるかもしれない。犬と子どもが遊び、やがて雪の上に寝転び、それを写真に撮る。そんななんてことない日常の風景こそ、やがて感傷へ繋がるのだ。もっともっといろんなシーンを写真に撮っておきたいと思わせてくれる句である。

 

 

昭和33年立川駅の写真に良い女を見つける

(東京都 つまみ食い 59歳)

白黒の写真が目に浮かぶ。映る風景は今の立川駅とは随分違うものだろう。そこに懐かしさを感じる人もいれば、今も残る面影を探す人もいる。そして女性を探す人もいる。視点というのはひとつではないこと改めて知る。その女性はまだご健在なのかどうか? そんなことを考える。

 

 

佳作

ウチの子だけ笑ってない
(宮崎県 甲斐千津 32歳)

ここがノラ猫の逃げない距離か
(神奈川県 岡田あづま 41歳)

突然の来客に写真立てを伏せる
(石川県 ライチ派 58歳)

撮りたかったのは今だ
(東京都 ウジアズキ 34歳)

写真判定を待たずに舞う馬券
(大阪府 フルカワ 29歳)

タイマーを仕掛けて走ってくる笑顔
(千葉県 xissa 55歳)

100年経っても動かぬ証拠
(埼玉県 ひっそり静か 60歳)

不純な動機で手に入れた
(千葉県 花澤希海 18歳)

指名手配みたいな証明写真
(大阪府 ルル 58歳)

心霊写真を撮るのに必死
(岐阜県 次元 29歳)

心霊写真の笑顔とパーマ
(長崎県 毎日ハッピー 45歳)

後頭部の白髪を撮る
(北海道 吉村侑太 35歳)

幼い自分と目が合った
(神奈川県 たすく 34歳)

カメラロールに疎遠の知人
(北海道 エリンギ 33歳)

よその家のアルバムに自分がいる
(和歌山県 中村まふゆ 47歳)

笑顔のオープニングスタッフ
(京都府 NCハマー 44歳)

お姉ちゃんのお下がりを着た私
(神奈川県 廣瀬順子 76歳)

ネガだけある家族
(群馬県 からっぽ 42歳)

生真面目な姉がシェーをした時代
(埼玉県 さっちも 48歳)

知らない町 解像度の足りない祭
(東京都 しまこう 33歳)

 

今月の総評

俳句というものは写真にたとえられることがあるが、時にはブレた写真のような俳句もある。『写真判定を待たずに舞う馬券』『タイマーを仕掛けて走ってくる笑顔』はまさにそんな俳句で、ブレた写真と言われるとマイナスのイメージを持ってしまうかもしれないがそんなことはまったくなく、馬券や笑顔の人のブレ具合が読み手に躍動感を与えてくれるのだ。なんだかワクワクする俳句である。昔は心霊写真というのがあって、私が子供の頃はブームにもなった。『心霊写真を撮るのに必死』は当時の子どもたちを思い出させる。隣の人の肩の上にそっと手を置き心霊写真を作ったものだ。『心霊写真の笑顔とパーマ』はテレビや本で見た心霊写真を思い出させる。目線の入った笑顔とパーマとの対比がより恐怖心を掻き立てたものである。『よその家のアルバムに自分がいる』は、そんな状態は無数にあることなのに今まで一度も意識したことがなかったのでハッとしてしまった。『笑顔のオープニングスタッフ』からはスタッフ募集のポスターやチラシの写真を思い出す。『お姉ちゃんのお下がりを着た私』からは何年、何十年経ってもお姉ちゃんはお姉ちゃんであるという当たり前のことを考え、センチメンタルになった。

 

プロフィール

せきしろ

1970年北海道生まれ。俳人、コラムニスト。芥川賞作家でお笑いタレントの又吉直樹との共著『カキフライが無いなら来なかった』『まさかジープで来るとは』『蕎麦湯が来ない』のほか、『たとえる技術』などの著書がある。

 

イラスト:飯田研人/撮影:賀地マコト

募集要項


自由律俳句は、定型(五七五)ではない俳句です。定型ではありませんが、どこかリズム(律)のある句を募集します。句読点は使わず、俳句らしい味わいを意識して、心にしみるような情景、共感できるような情景を切り取ってください。俳句のもとは俳諧ですから、滑稽味があってかまいません。しかし、笑いだけではなく、しみじみ、ペーソス、人間くさいといった句を期待しています。

 

応募規定

定型(五七五)でない自由律の俳句。

面白コピーの募集ではなく、定型ではない無季俳句。

応募上のご注意

・ペンネームを使わない方は、応募フォームのペンネームの欄に本名をお書きください。

・応募フォームの「年齢」の欄は必ずお書きください。

・応募点数に制限はありませんが、1応募につき1作品とします。

応募規定

作品は未発表作品とし、採用作品の著作権は公募ガイド社に帰属。

応募者に弊社から公募に関する情報をお知らせする場合があります。

最優秀賞1点=5000円(商品券)

優秀賞2点=2000円(商品券)

佳作10点=記念品

公募ポイント

mottomo会員の方は、ログイン後WEBから応募するだけで自動的にポイントがたまります。

応募者全員=5pt追加

【最優秀賞】 さらに50pt追加

【優秀賞】 さらに30pt追加

【佳作】 さらに10pt追加

※応募者全員ポイントの付与は各回ひとり1回までです。

※ポイント付与は結果発表の時期に行われます。

募集中のお題

第51回「願い」

応募期間 3月25日~4月20日

 

第52回「好奇心」

応募期間 4月25日~5月20日

発表

第51回 6月9日 WEB上

第52回 7月9日 WEB上