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友達が欲しい 熊の子

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友達が欲しい

熊の子

でんでろ3

どんどこ森の大きな木のうろに、いつも一匹で丸まっている小熊がいました。小熊の名前はコロリンです。

ある日、コロリンは、「友達が欲しいな」と思いました。ずっと前から、そう思っていたような気もします。今、思いついたような気もします。

いずれにしても、とても友達が欲しいと思いました。

「友達って、どんなものをもらったらよろこぶかなぁ?」

コロリンは考えました。

「僕なら、木の実をもらったらうれしいなぁ」

コロリンは、そう考えました。

コロリンは、一生懸命たくさんの木の実を集めました。へとへとになったけど、たくさんの木の実を見ると誇らしくなりました。

でも、急にあることに気がついて、コロリンはしゅんとしてしまいました。

木の実を運ぶ方法がありません。

木の実をあげる相手が思い浮かびません。

コロリンは、とぼとぼと家に帰っていきました。

次の日、コロリンは、他の小熊を探しに森の中を歩き回ってみることにしました。

途中、狐のおばさんに出会いましたが、恥ずかしくてお辞儀をするのがやっとでした。

今度は、怖そうな大人の熊に会いました。

ずっとうつむいたまま、すれ違ってしまいました。

その後も、大人の動物には何匹も出会ったのですが、なんの話もしないですれ違いました。

結局、その日、小熊に会うことはできませんでした。

次の日になって、コロリンは、やっとお母さんに話をしました。

友達が欲しいこと、木の実を集めたこと、小熊を探したこと。

お母さんはただ話を聞くだけではなくて、コロリンにたくさんの質問をしました。

どうして友達が欲しいと思ったの?

友達ってどんな人?

どんな木の実を集めたの?

何が大変だった?

集めた木の実はどうしたの?

森で誰に会った?

そのときどうした?

どうしてお話ししなかったの?

お母さんと話してコロリンは、自分がたくさん失敗してしまったことに気づきました。

木の実と仲良くなりたいんじゃなくて、お友達と仲良くなりたいんだから、最初からお友達を探せば良かった。

森で出会った大人の動物たちに、

「小熊たちが遊んでいる場所を知りませんか?」

って質問すれば良かった。

コロリンは、次の日、森を歩き回って、今度は大人に会ったら、きちんと挨拶して、

「小熊が遊んでいるところを知りませんか?」

と質問しました。

半日もすると、たくさんの小熊が遊んでいるところにたどり着きました。

あんまりたくさんいたので、コロリンは物陰に隠れて様子を見ていました。

すると突然、後ろから、

「君はだぁれ?」

と声をかけられました。

振り返ると、くりくりとした目が人なつこそうな小熊が立っていました。

「僕は、ちょっと遠いところから来たコロリンっていいます。友達が欲しくてきました」

ちゃんと言えました。

「それなら、僕たち、もう友達だね。僕はクリリン。行こう。みんなにも紹介するよ」

「あ、みんなは何が欲しいのかなぁ?」

「何もいらないよ。ただ、みんな、きみのことが知りたくてしょうがないと思うよ」

コロリンとクリリンはみんなのところへかけていきました。