文章表現トレーニングジム 佳作「人類の敵」クロレナ
第18回 文章表現トレーニングジム 佳作「人類の敵」クロレナ
ウィキペディアによれば、「家屋害虫となるゴキブリの種類は全てのゴキブリのうち1%にも満たない」そうだ。だとしたら世界にどれだけの数のゴキブリがいるのかと考えると気が遠くなる。
が、今は世界規模の話などどうでもよい。問題は、うちの家に毎日のようにゴキブリが出てくることだ。彼らの特徴として、人が寝静まった後の深夜にコソコソ動きだすことが挙げられるが、うちのゴキたちは昼間から出てくる。
今日なんか、帰宅時にふとドアの蝶番の辺りを見たら、その隙間に二匹も潜んでいた。うちに出るゴキは、体長一、二センチくらいと小柄である。おまけに、見つかってもじっとしているのでほぼ百パーセントしとめられる。最初はべつの虫かと思っていたのだが、長い触覚もあるし、どう見ても小さいゴキブリなのだ。
以前住んでいた家では一匹も出なかったのに、引っ越してきてから三十匹以上殺している。かわいそうな気もするが、いっしょには暮らせない。出ていってくれない以上は、死んでもらうしかないのである。
それにしても、世界中に無数の種類のゴキブリがいることを考えると、心強い。今この瞬間も、どこかの国の人がその国での武器を手にして、ゴキブリと戦っているはずだからだ。外国語がしゃべれたら、まずゴキブリ退治の方法について意見を交換したい。