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文章表現トレーニングジム 佳作「ばら寿し」 都原正守

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作文・エッセイ
結果発表
文章表現ジム
第10回 文章表現トレーニングジム 佳作「ばら寿し」 都原正守

母乳からを卒業させられるのは、二才半から三才位の時である。

多分、自分もこの一般に該当していたものと思う。がこの時の食感が全く記憶が存在しないのは当然であろう。

ところで、母の拵えた食べ物で今でも忘れられないのは、“ばら寿し”である。

お祭りに行き、親戚や友人の家でばら寿しを御馳走されるのが、通常であった。

しかし、母の作ったのに比べ何か物足りなく、お代わりをする気にならない。調味料の何がどうと云った感じまでは分からないが、はっきり言って口に合わない。

夏休み、姉の嫁いだ家に遊びに行き夕食にばら寿しが出された際、義兄の祖母から

「あんたの姉ちゃんのばら寿しが、一番美味しいよ」と、聞かされる。

母が拵えたのではないかと思うほど、全くに同じである。

仕事から帰って来た義兄が、食事をしながら姉のばら寿しを褒め称えながら食べるのを見ていると、もう一度食べたくなる。

翌日、昨夜の残りを食べさせてもらっていると

「母は父と結婚した際、おばあさんから、うるさく教えられた」ことを姉から聞かされる。

姉が亡くなった後、このばら寿しが作れるのは実家の兄嫁だけであり、帰省した折りに食べさせてもらうのが、楽しみである。