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文章表現トレーニングジム 佳作「待っています、五輪」 高村晴美

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作文・エッセイ
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文章表現ジム
第7回 文章表現トレーニングジム 佳作「待っています、五輪」 高村晴美

私の記憶の中に、微かにあるのは1964年の東京オリンピック。私が7歳のときの出来事。それから、幾度オリンピックが開催されたのか分からないが、感激も落胆もなく60歳になってしまった。

2020年に、東京でオリンピックが開催されると決まったときも、テレビの中で喜んでいる人たちをながめて、「何故、そんなに、はしゃぐのか」と冷めた目で、「たぶん、中止にはならないな、うわあー金かかりそう」等と思った。

ある意味、人の努力している姿を見て、我がことのように喜べる感性をもった人たちが私は羨ましいのかもしれない。

3年後、父と母は、生きているだろうか。93歳の父、87歳の母は今、施設にいる。

二人共、テレビは、ほとんど見なくなってしまった。感動とか、刺激等というものとは、かけ離れた所に住む人となってしまった。それはそれで、幸せだと私は思う。この国の未来を憂えなくともいいのだ。自分のことだけ考えて、穏やかな時間の中に身をゆだねていればいいのだ。

でも、願わくば、両親と2020年のオリンピックが観られたら、嬉しい。きっと、もうそれ以上のものはいらない。口数の少なくなった父から、何かひと言聞きたい。スポーツに疎い母も、国旗を見たら、ほほえむような気がする。早く来い五輪。