悪者の魅力を絵や立体に!「害蟲展 season4~ワルモノにされたイキモノたち~作品募集」
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人間にとって、不都合・不快・不利益と言われる「害蟲」。害蟲たちにも存在理由があり、生き抜くために洗練された姿があります。今回は、そんな害蟲に注目したユニークな作品展をご紹介。
8thCAL株式会社が主催する「害蟲展 season4 ~ワルモノにされたイキモノたち~」では「害蟲」をモチーフにした作品を募集しています。平面や立体、写真、映像、書などもOKです。エントリー締切は2023年6月26日。最優秀賞には賞金30万円が贈られ、入選作品は東京ほか各地で展示される予定です。
※本記事には虫の名前や、虫をモチーフにした作品が出てきます。苦手な方は閲覧にご注意ください。お好きな方はぜひぜひチェック!
害蟲は賢く、強く、美しい
テーマである「害蟲」は人類・獣類・鳥類・魚介【以外の】小動物で、人間にとって「不都合」「不快」「不利益」であるものを指します。
たとえば、不衛生なものにたかるハエ、血を吸って病気を媒介する蚊、アレルギーの原因になるダニ、家すら壊してしまうシロアリなど、その種類はさまざま。
安全で健康的な生活のためには駆除が必要ですが、害蟲からすると、さまざまな攻撃に耐えながら、パワフルに繁殖し、命を繋いでいるのです。
たとえば害蟲の筆頭として思い浮かぶゴキブリ。実は目にするものはほとんどオスだとご存じでしたか?
驚異的な繁殖力を維持するため、メスはほとんど巣から出歩かないそうです。メスは固い殻で覆われている卵鞘を産みます。この殻のなかに複数の卵を格納して守っているのです。道理で、目につくオスばかり駆除しても全滅しないはず。なんという知恵と工夫でしょうか。
多角的な視点で害蟲を捉えることで、今まで気づかなかった魅力が見えてくるかもしれません。
見たら忘れられない受賞作品の数々
一体どんな作品があつまるのか、前回の入賞作品を見てみましょう!
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前回最優秀賞「growth」
シロアリの巣をモチーフにした作品です。シロアリの巣を壊れないように加工し、着色したものとのこと。100万匹にもなるコロニー(巣)を形成するシロアリは、社会性をもった生物。受賞者の菊池顕生さんは「人が自然を切り拓き、開発を進めるように、シロアリも民家を切り拓き、開発をしているのだ」と語ります。
受賞作品について、審査員の丸山宗利さん(昆虫学者)は、壊れやすい巣を作品として完成させた試行錯誤の過程を高く評価するとともに、「シロアリが持つ能力の高さ、そして人によってはその恐ろしさを想起させる点で、作品の奥行きを感じさせる」と述べています。
続いて優秀賞です。
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前回優秀賞「防虫剤」
ウールなど衣類の虫食いを防ぐ防虫剤がモチーフ。毛糸で編まれた作品にはところどころ穴が空いており、防虫剤そのものが「虫食い」の状態になっている点が斬新な作品です。この作品を長く保管するうちに、本当の虫食いが発生し、穴が広がるかもしれません。
審査を務めた満田晴穂さん(自在置物作家)は、穴の開いたニットを用いることでその害虫の「気配」そのもの意識させる点を評価。「普段我々は『害虫』と出会う時、害虫そのものよりその害虫の残した痕跡によってその生き物が確かにソコに存在したという気配を感じる事が多い」と指摘しています。
受賞者の勝見俊介さんも「虫本体を描かないことにより感じる存在感を表現しました」とコメントを寄せています。
過去の受賞作は、主催者のWEBサイトのアーカイブから閲覧できます。どれもインパクトがあり、クセになる面白さ。オリジナルグッズや図録も通販で購入可能です。
平面、立体、写真、映像、書。なんでもOK
この公募のユニークな点は、テーマだけではありません。募集するアート作品は、平面、立体、写真、映像、書など、ジャンル不問な点もめずらしいのではないでしょうか。
輸送可能であることと、オンライン審査が可能であればOK。演劇、舞踏などのライブ表現はNGですが、映像(3分以内)も可能なので動画を応募することはできます。
審査員は前述の丸山宗利さん、満田晴穂さんのほか、生物画家で昆虫絵本を制作する舘野鴻さん、箕面公園昆虫館館長の中峰空さんなど、多彩な顔ぶれが揃います。入賞作品は9~10月に東京をはじめとする各地で巡回展示される予定です。
嫌われ者の害蟲たち。あなたならどう表現しますか? 虫を知り、虫を愛する人はぜひ挑戦を!
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出典: https://sites.google.com/8thcal.design/exhibition/
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