せきしろの自由律俳句 第75回「店」結果発表
第75回 課題:店
せきしろの一句
最優秀賞
イタリア料理屋になり掘り炬燵がなくなっている
(大阪府 古賀 38歳)
優秀賞
店長は最近生まれた男
(千葉県 千葉信子 92歳)
色褪せた招き猫と目が合う
(北海道 エリンギ 36歳)
佳作
厚生地の暖簾をくぐってふるさと
(沖縄県 千円果菜 21歳)
私が何で出来ているかを知るコンビニ
(北海道 梓生 33歳)
中に入らず半世紀
(東京都 まるまる 34歳)
海の家を待ってる冬
(広島県 裏STF 41歳)
店と家の境目で呼ぶ
(神奈川県 哲ロマ 43歳)
ここのコロッケは世界一だと思うマジで
(埼玉県 サキ 43歳)
愛想だけがない
(神奈川県 染井よがり 22歳)
布地売る店多かったまた縫いたし
(新潟県 あやめ 79歳)
老舗の菓子包みを見るだけで良い
(千葉県 牛美 85歳)
遅くまで灯りを灯す優しさ
(埼玉県 本間孝男 13歳)
小さくなった駄菓子置き場に腰を下ろして
(滋賀県 塩っ子 15歳)
我ら店側の思うツボ
(滋賀県 YUKO 15歳)
メニュー表にシール貼りて値上げの春
(愛知県 紅紫あやめ 30歳)
旅先にもあるガスト
(兵庫県 山口波子 33歳)
明るいPOPが床に落ちてる
(栃木県 六井象 35歳)
さっと帰るのも常連
(大阪府 ナックルボール 35歳)
仕込み時に見えた私服
(東京都 しまこう 35歳)
地元の中学生の溜まり場で過ごすしかない
(大阪府 石川聡 41歳)
雨宿りのためアンティークの店にいる
(長崎県 毎日ハッピー 45歳)
看板おばあちゃんのりんご噛む音
(兵庫県 天野 ボンド 47歳)
探すフリして懐メロのサビを待つ
(東京都 ビールおかわり 51歳)
改めてですがここで募集しているのは自由律俳句です。定形の俳句ではありません。秀逸な定形俳句が送られてくることが多々あるのですが、それが採用されないのは句が悪いからではなく自由律俳句ではないからです。また明らかにテーマを間違っている句も採用されません。そういう句に限って良かったりもします。テーマと締め切りを今一度ご確認ください。
『厚生地の暖簾をくぐってふるさと』。故郷の料理が食べられるお店だろう。『私が何で出来ているかを知るコンビニ』。かつての私はジャムとマーガリンが挟まっているパンで出来ていた。それを近所のコンビニは知っている。『中に入らず半世紀』。小さい頃からずっとあるが一回も入ったことがない店。私もいつか入るのかなと思っていたスナックも結局何十年も入っていない。『海の家を待ってる冬』。夏を待ちきれない度が高い。『店と家の境目で呼ぶ』。店舗の奥に住居があるタイプの個人商店が目に浮かぶ。『ここのコロッケは世界一だと思うマジで』。感想!ありがとうございます。『愛想だけがない』。愛想だけあるのとどちらが良いのか。『地元の中学生の溜まり場で過ごすしかない』。私の近所のファストフード店でもこの状態になることがある。ヘッドフォンかイヤフォンが必須である。『布地売る店多かったまた縫いたし』。静かな願望。『老舗の菓子包みを見るだけで良い』。静かな時間。
1970年北海道生まれ。俳人、コラムニスト。芥川賞作家でお笑いタレントの又吉直樹との共著『カキフライが無いなら来なかった』『まさかジープで来るとは』『蕎麦湯が来ない』のほか、『たとえる技術』などの著書がある。
イラスト:飯田研人/撮影:賀地マコト
- 自由律俳句
- 季語にとらわれず自分のリズムで作る俳句です。
「俳句を作る」という思いを忘れずに! (せきしろ)
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- 賞
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優秀賞2点=Amazonギフト券2000円分
佳作=記念品
- 募集中のお題
- 第77 回「机」
応募期間 5月25日~6月20日
第78回「火」応募期間 6月25日~7月20日 - 発表
- 第77回 8月15日 WEB上
- 第78回 9月15日 WEB上