せきしろの自由律俳句 第81回「小銭」結果発表
結果発表
第 81回 課題: 小銭
せきしろの一句
五円玉でレンズが作れる話をする人はなく
最優秀賞
吐き出された十円が冷たい
( 東京都 蛸壺 21歳)
自由律俳句は「題材」と「詩情」が重要である。そこに作者の表現力が加わって完成される。そのバランスが絶妙な俳句である。冷たさはもちろんなのだが、孤独も伝わってくるのが良い。
優秀賞
一円玉が立ったところでだ
( 大阪府 石川聡 42歳)
たしかにその通りなのである。一円玉が立ったところで、何かが変わるわけでもない。それなのに立てようとしてしまうのが自由律俳句を好む人なのかもしれない。作者も絶対立ててるはずだ。
訪れたての冬を買う朝の自販機
( 東京都 稲葉智子 44歳)
いつもの自動販売機を見るとラインナップが変わっている。温かい飲み物と色が増えている。硬貨を入れてそれを選択する。ガタンと音が響く。冬の凛とした朝が伝わってくる俳句だ。