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フリーライター養成講座4:取材前、取材後、ライターの仕事エトセトラ

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最初に確認すること

編集者から取材の依頼が来たら、以下のようなことを確認します。
まず締切。これが一番大事です。次に字数。それ以外は必要に応じてでいいですが、ワープロソフトの種類や字詰め、打ち合わせが必要か、もらえる資料があるかなども確認します。
ギャラも聞いておきます。出来高払いとしている会社もありますが、初回は確認しておいたほうがいいです。

ライターもホウレンソウ

報告、連絡、相談、略してホウレンソウと言いますが、ライターにもこれが必要です。報告は進捗やトラブルなどの報告で、連絡は仕事を受ける受けないの連絡や待ち合わせ日時の確認。相談はどうしたらいいか迷ったときの相談です。
相談もなしに勝手に進めればトラブルにもなりますが、どうでもいいことまで相談すればうるさがられます。そのへんは適宜判断しないといけません。

表記と文体

女性誌っぽいなど、雑誌には固有の文体があったりします。明文化されたものではありませんが、担当する雑誌をよく読み、それらしい雰囲気を出します。
表記に関しても、固有の基準(たとえば、数字は算用数字を使う、など)がある場合もあります。事前に聞いておいてもいいですが、面倒なら、「表記はそちらの基準に合わせますので、適宜修正ください」としてもいいです。

取材申し込みと請求書

取材の申し込みをライターがやる場合は、編集者から企画書をもらって取材先に送ります。自分で企画書を作る場合、形式に決まりはありませんが、取材の主旨、なぜ取材対象に選んだか、媒体名、発売日、ライターの素性などを明確に。
業務がすべて完了したら、適当な時期、または掲載誌が出るタイミングで請求書を発送します。交通費などが落ちるかどうか不明なら事前に確認しましょう。

守秘義務

医師や弁護士に課せられた法的な守秘義務とは異なりますが、ライターや編集者にも守秘義務のようなものがあり、取材のときにあったことを個人のブログやSNSでおもしろおかしく書きたてたり、暴露したりするのはマナー違反です。
オフレコと断って言った場合はもちろん、インタビューでは口が滑るということもあります。誤報ではないからいい、ということにはなりません。

あるといい撮影スキル

取材のとき、記者が撮影も行う場合もあります。これを記者撮りと言います。
記者が撮るのは、精度はあまり考慮しない写真が多く、今はカメラも高機能ですので気は楽ですが、手ブレしていたり、逆光で人物の顔が真っ黒ということにならないようにしましょう。
また、誌(紙)面での右左も考慮し、もしものときに備え、いろいろな構図で多めに撮っておくと安心です。

ゲラのチェック

ゲラ(校正刷り)では誤記などを確認し、あれば赤字で修正します。
よく使う校正記号は、以下の8つです。

  1. 一字下げ 
  2. 挿入 
  3. トルツメ
  4. 差し替え 
  5. トルアキ 
  6. 改行する
  7. 入れ替え
  8. 改行をはずす

現役フリーライター四人が語る 私のライター奮闘記

ライターのおいしいところ、つらいところ

フリーライターとなって、今年で17年目。旅と食、インタビューをおもに手掛けています。「おいしいところ」は、仕事として旅に出かけられ、 “おいしいもの”が食べられること、著名人と会い、人となりに触れられることです。
でも、こうした体験は、他の職業に就いてもできること。私にとってのいちばんのおいしさは、自分で感じたことを多くの人たちに発表できることかもしれません。本来なら自分の脳みそにしまっておくことがらを、読者のみなさんに喜んでもらえるように(または役にたつように)、ひとつの文章に仕上げて世に送り出す。たとえるなら、小学校のときに壁新聞を作って、みんなに自分の文章を読んでもらうあのワクワク感に近いです。自己顕示欲といったらそれまでですが、これが精神の健康にスコブルいいような気がしています。
一方の「つらいところ」といえば、フリーランスのため収入が不安定なところ。とにかく、これにつきます。それでもライターがやめられないのは、お金以上の喜びがたくさんあるからと、自分に言い聞かせ、日々努力しています(笑)。

私の確定申告奮闘記

独立して7年目。フリーランスになり、最初にとまどったのはお金のこと。
最初の確定申告は何しろどたばたでした。無我夢中で目の前の仕事をこなしていた最初の年は、経理作業にまで気が回らず、仕事で使った備品や資料などの領収書を紛失しているものもありました。確定申告の締切日まで領収書の整理が終わらず、税務署の申告会場で冷や汗をかいて作業したという記憶があります。
この他、領収書以外に見落としやすいのが源泉徴収票です。原稿料の場合、一般的にギャラの10%の税金が差し引かれて支払われます。確定申告の時期が近づくと各取引先から源泉徴収票が送られてきて、これを申告書類に添付、記載することで税金分が戻ってきます。
なかには請求しないと送られてこない場合もありますので気をつけておいたほうが良いでしょう。煩雑ですが、昨年に比べて経費が減って、売り上げが増えている……など、一年の活動や収支の総点検にもなり、慣れると楽しいものです。次の年への活動計画の基礎にもなりますので、来年の確定申告を楽しみに頑張って取り組んでみてくださいね!

協力者ともコミュニケーション

この仕事を始めた頃、エンタメ雑誌で新人バンドを紹介する連載を任されました。「世に知られていない人に興味をもってもらうには、聴かなければ分からない音楽性に触れるより、まず人柄を知ってもらったほうがいい」と考えた私は、ひたすら面白エピソードを追求するインタビューをしました。
狙い通り、読者や編集部内からの評判は上々だったのですが、次第に登場してくれるバンドが減るようになり、ついには連載終了に。後から考えると、
「バンド側は、まず音楽ありきのミュージシャンとして扱ってほしいのだ」と思い当たりました。「バンドを知ってもらいたい」という思いはお互い共通していながら、その方法についてのコンセンサスが取れていなかったため、こういう結果になったのだと反省。
以来、仕事をするときは「どういう意図で、どういう原稿にしたいか」という思いをまず相手にきちんと理解してもらうことを心がけるようになりました。読み手を意識するだけでなく、そこに協力してくれる人ともきちんとコミュニケーションが取れてこそ、「いい記事」になると肝に銘じられるようになった経験です。

私の売り込み奮闘記

通算11年の会社員生活を辞め、フリーライターになったのが30代前半の頃。
張り切って名刺を作ったものの、営業先の心あたりなどはまったくなく、とにかくインターネットで「ライター募集」「原稿制作」などを検索しては片っ端からアプローチしました。
ただ、せっかく面談にこぎつけても、実績がないのを理由に断られることが多く、「とにかく書かせてもらえるところ」を探す毎日でした。
そんな中、たまたま自分の住む町の広報紙に「地元ライター募集」の記事を見つけ、企画持ち込みで一本書かせてもらえることに。掲載されたその記事を持って別の営業先を回ったり、そのとき知り合った制作会社の方に仕事を紹介していただいたりするうちに、少しずつお客さまが増え、40歳目前の現在は企業の社内報や業界紙の取材記事、インターネットの情報サイト等で月10本前後の安定したお仕事を頂けるようになりました。
今でも半期に一度は新規開拓の売り込み活動を行っていますが、営業先の業界や仕事内容に合わせた実績を用意できるようになり、格段に仕事をゲットできる確率が高まっています。

 

※本記事は「公募ガイド2013年12月号」の記事を再掲載したものです。