せきしろの自由律俳句 第87回「動物」結果発表 (2/3)
第 88回 課題： 座る
佳作
図鑑のパンダが固い
(大阪府 フルカワ 32歳）
亀に振り回される暮らしをしている
(兵庫県 うちゅ。 48歳）
リスは写ったのに息子は泣き顔
(愛知県 ナカジマ 41歳）
漫才の間中ずっと吠えている犬
(熊本県 貴田雄介 37歳）
滑り台の影が馬
(京都府 まさ 34歳）
カラス群れてるが特に何もなし
(岐阜県 次元 32歳）
カラスの声だけ聴こえる空から
(埼玉県 天海楓 21歳）
毛並みを描くタッチペンの手捌きが鮮やか
(東京都 マモー摩擦 73歳）
異国にて猫とあそぶ
(千葉県 xissa 58歳）
良い服着た犬に無視される
(京都府 梅野なお 56歳）
雪解けの動物園は住人が大人しい
(北海道 はなまみ 49歳）
訪れた静けさに存在の大きさを知る春
(宮城県 みどりネコ 48歳）
犬猫やないんやからと言われたことがある
(大阪府 石川聡 42歳）
亡き祖母の口癖繰り返すオウム
(北海道 エリンギ 37歳）
鳩サブレー割れて二羽
(岡山県 白とり貝 34歳）
和風な名前父につけられたチワワ
(鳥取県 きゅうりのたこよ 33歳）
キリンからまず濡れてゆく雨
(東京都 水面叩 32歳）
キリンはちょうど居ないらしい
(北海道 ぶんぶん丸 18歳）
死を意識していない
(東京都 めめめい 16歳）
のろのろと老人の自転車鳩の群れ割る
(長崎県 毎日ハッピー 45歳）
『図鑑のパンダが固い』。確かに固い。そんなことを考えたことがなかった。「気づき」である。
『亀に振り回される暮らしをしている』。どれくらい振り回されているのかはわからないが、気持ちはよくわかる。これがまた嫌ではない。
『リスは写ったのに息子は泣き顔』。これはこれで後々楽しい思い出になる。リスにピントが合っていたら、さらに思い出になる。
『漫才の間中ずっと吠えている犬』。応援しているのか、笑っているのか。はたまた声質か。
『滑り台の影が馬』。なぜだろう、郷愁が生じる句だ。
『カラス群れてるが特に何もなし』。「異常なし！」と報告された時の気分になる。
『カラスの声だけ聴こえる空から』。独特なリズムが独特な読後感を与えてくれる。