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中村航選 プロットだけ大賞 第5回 大賞 ゴッホの耳の残る声

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小説・シナリオ
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プロットだけ大賞
結果発表

-第5回-
結果発表

お題ログライン

過去から現代にタイムスリップしてきた主人公が、現代での経験によって元の時代で歴史に名前を残す話。


大 賞

「ゴッホの耳の残る声」
若林到里(著)

5.0★★★★★
カテゴリ SF ヒューマンドラマ アート 小説

舞台・世界観

現代の日本にタイムスリップしてきた孤独な天才画家・ゴッホ。何をやってもうまくいかず、パリの弟が住む部屋に転がり込んだ矢先だった。情熱家のミナの世話を受け、ゴッホは新しい世界に居場所を見つけた気がした。

登場人物

フィンセント・ファン・ゴッホ(33~35)
男性。オランダ生まれの不遇の画家。生前に売れた絵はたった一枚と言われている。

「ぼくの世界はあまりに狭い。どこへ行っても歓迎されない」

北野ミナ(21)
女性。美大生。色彩の粒に魅了され、大ファンだったゴッホと時代を越えて出会う。

「わたしの鼓膜の奥には、ずっとあなたの声が残るでしょう」

ガブリエル・ベルラティエ(19)
女性。売春宿で働くメイド。ゴッホからそぎ落とした耳を受け取る。

「この耳で聞いてきたお話を、いつかゆっくり私にも教えて」

ストーリー

第1章

職を転々とし、流れるようにパリに行き着いたゴッホ。だが、安住の地ではなかった。川面に顔を映そうと橋から身を乗り出し、彼は誤って入水してしまう。驚いたことに、気づくとタイムスリップして現代の日本にいた。

第2章

ゴッホと出会ったミナは「いつか帰るべき人」だと彼に未来は教えなかった。LEDアートの「冨嶽三十六景」を共同制作するミナ。激しい議論の末、ついに完成。しかしながら、作品の点灯と同時にゴッホの姿は消えた。

第3章

元の時代に戻った彼の画風は明るい色調に。ミナの叱咤激励を思い出し、瞳に焼きつけた日本の印象を鮮やかな色の粒に変えて独自の絵を描いたのだ。しかしながら、ゴーギャンを迎えての共同生活は短期間で破綻する。

第4章

もう会えないミナの声がこだまする耳をそぎ落とし、知人のメイドに渡すゴッホ。彼の心の痛みを知る彼女は優しくその耳を受け取った。居を移したアルルは日本のように美しいと感じた。その心にはいつも日本があった。


中村先生からの一言コメント

 大賞に選ばせてもらったのは、「ゴッホの耳の残る声」で、こちらはフィンセント・ファン・ゴッホが現代日本にタイムスリップしてきたというプロットだ。
 お題のプロットはタイムスリップものだから、つまり前提として大きな「IF」を打ち立てることになる。歴史上の有名な人物を登場させる場合、その「IF」が、さもありなん、に繋がると、読者の楽しみはとても大きくなる。このプロットの場合は、ゴッホの日本に対する憧憬であるとか、耳を切り落としたエピソードと、「IF」がうまく絡んでいるのが良かった。
 また、このプロットに関しては、……【つづきは本誌で】
※中村先生の大賞選評全文は
2024年秋号にて掲載中です


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