戦後80年、沼津市が誇る作家の平和への思いを紐解く - 芹沢光治良記念館で『サムライの末裔』特別展


沼津市の名誉市民であり、国際的に高い評価を受けた作家・芹沢光治良の足跡をたどる特別展が、沼津市芹沢光治良記念館で開催される。「光治良の戦争と平和―『サムライの末裔』―」と題された本展示は、戦後80年を記念する企画の一環として、2025年6月13日から11月30日まで行われる。
展示の中心となるのは、芹沢光治良が1954年に発表した小説『サムライの末裔』だ。この作品は、1950年に川端康成らと共に訪れた広島での体験を基に、原爆の恐ろしさを世界に伝えるべく執筆された。フランス語に翻訳されるなど、海外でも高く評価されたこの小説を軸に、終戦前後の日本、沼津、そして芹沢光治良自身の人生に起こった出来事を約80点の資料を通じて紹介する。
注目すべき展示品には、芹沢が疎開中に記した日記やフランス語訳『サムライの末裔』、さらには被爆者支援に尽力したアメリカの作家夫妻、アイラ・モリスとエディタ・モリスからの書簡(初公開)などが含まれる。また、芹沢と川端康成の往復書簡も展示され、当時の文学界の巨匠たちの交流の一端を垣間見ることができる。
会場となる沼津市芹沢光治良記念館は、静岡県沼津市我入道蔓陀ケ原517-1に位置し、開館時間は9時から16時30分まで(入館は16時まで)。なお、展示替えのため6月2日から12日までは休館となる。
戦後80年という節目の年に開催されるこの特別展は、芹沢光治良の文学を通じて、戦争の悲惨さと平和の尊さを改めて考える貴重な機会となるだろう。文学ファンはもちろん、平和教育に関心のある方々にとっても、見逃せない展示となりそうだ。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000031.000151527.html