イヤミスの名手・芦沢央、衝撃の連作短編集で直木賞候補に!『嘘と隣人』が読者の心を掴む理由とは


ミステリファンの間で絶大な人気を誇る芦沢央さんの最新作『嘘と隣人』が、第173回直木三十五賞の候補作に選ばれた。本作は、定年退職した元刑事を主人公に据えた連作短編集で、現代社会の闇に切り込む鋭い洞察力と、読者を驚かせる展開が特徴だ。
芦沢さんの直木賞候補作は今回が2度目。前回は第164回の『汚れた手をそこで拭かない』でノミネートされており、その実力は広く認められている。『嘘と隣人』は発売直後から「王様のブランチ」などのメディアで取り上げられ、早くも話題作となっている。
本作の主人公・平良正太郎は、定年退職後の平穏な日常を送るはずが、次々と不穏な事件に巻き込まれていく。ストーカー、マタハラ、技能実習制度の問題、SNSでの誹謗中傷など、現代社会が抱える様々な闇が描かれる。捜査権限を失った元刑事が、持ち前の洞察力で事件の真相に迫る姿は、読者の心を掴んで離さない。
芦沢さんは本作について、「"正しさ"が変わり続ける現代社会において、倫理観のアップデートは歳を重ねるほどにしんどくなる」という考えがきっかけだったと語る。過去の自分を否定しなければならない局面に直面する主人公の姿を通じて、読者自身の価値観も揺さぶられることだろう。
『嘘と隣人』の魅力は、リアルな社会問題を背景に据えながらも、ミステリとしての面白さを損なわないストーリー展開にある。芦沢さんお得意の驚愕のどんでん返しは、本作でも健在だ。第1話「かくれんぼ」と第2話「アイランドキッチン」の冒頭は、文藝春秋の公式サイトで無料公開されている。その一部を読むだけでも、本作の魅力が十分に伝わってくるはずだ。
7月16日に行われる直木賞の選考会に向けて、『嘘と隣人』の評価はますます高まりそうだ。現代社会の闇に迫りながら、人間心理の奥深さを描き出す芦沢央さんの手腕に、今後も注目が集まることは間違いない。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000707.000043732.html