世界初の多言語オペラ『ナターシャ』誕生!細川俊夫×多和田葉子が描く7つの地獄と希望


新国立劇場が2025年8月に世界初演する新作オペラ『ナターシャ』の記者懇談会が開催された。作曲を手がける細川俊夫と台本を担当する多和田葉子が登壇し、注目の新作について語った。
『ナターシャ』は、日本発の多言語オペラとして誕生する。細川俊夫は「今回初めて、日本で世界初演されるオペラを書きました」と語り、多和田葉子も「オペラの台本を書いたのはこれが初めてです」と新たな挑戦に意欲を見せた。
作品の特徴は、ドイツ語、日本語、ウクライナ語など複数の言語が響き合う点だ。多和田は「今の私達が生きている現代の響きはどんな風なんだろうと考えながら書きました」と説明。細川も「きっと聞いていただいたら、アラトとナターシャがお互い違う言葉を喋って、意味が明瞭に分からなくても、何か繋がりが出てくる」と期待を寄せる。
物語は、2人の若者が"メフィストの孫"に導かれ、現代社会の7つの地獄をめぐる旅を描く。森林地獄、快楽地獄、洪水地獄、ビジネス地獄、沼地獄、炎上地獄、干ばつ地獄と、現代社会が抱える問題を象徴的に表現。細川は「今の時代的に、調性を使ったポストモダン的なスタイルとして……2ヶ所だけですが、僕としてはかなり勇気をもって、調性音楽を書きました」と新たな試みを明かした。
多和田は台本執筆にあたり、ダンテの『神曲』から着想を得たという。「地獄としてこの世を見る」という視点から、現代社会の問題を浮き彫りにする。一方で、物語の結末には希望も込められている。細川は「そこからまた新しい出発という体験をして、何か新しい世界が生まれるんじゃないか」と語った。
世界的に活躍する2人のアーティストによる新作オペラ『ナターシャ』。多言語が織りなす音楽と物語が、どのような世界を描き出すのか。2025年8月の世界初演が今から待ち遠しい。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000994.000047048.html