85年の時を経て蘇る!ユダヤ人作家の遺作が美しい絵本に - 『冬にやってきた春と夏と秋』が話題
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季節の王たちが集う不思議な物語が、美しい絵本となって蘇った。徳間書店から10月29日に発売される『冬にやってきた春と夏と秋』は、85年前にドイツ系ユダヤ人作家ウルリッヒ・アレクサンダー・ボシュヴィッツが遺した童話を、現代の名手たちが見事に再構築した作品だ。
物語は、冬の王さまが誕生日に春、夏、秋のきょうだいたちを招待するところから始まる。久しぶりの再会に喜ぶ四季の王たちだが、彼らが一堂に会したことで、自然界は大混乱に陥ってしまう。夏の太陽が照り、秋の雨が降り、雪が舞い、春の花が咲く―そんな奇妙な光景が広がるのだ。
この童話を現代に蘇らせたのは、ピュリッツァー賞受賞作家のジョナサン・フリードランド。そして、英国の人気絵本作家エミリー・サットンが、繊細かつ色鮮やかなイラストを添えた。ページの隅々まで丁寧に描き込まれた絵は、読者を幻想的な世界へと誘う。
原作者のボシュヴィッツは、第二次世界大戦下でユダヤ人であるがゆえに祖国ドイツを追われ、ヨーロッパを転々とした末、英国で「適性外国人」として収容所に入れられた経験を持つ。27歳で早世した彼の遺作が、このような形で日の目を見ることは、まさに奇跡と言えるだろう。
本作は既に海外で高い評価を受けており、テレグラフ紙とニュー・ステーツマン誌の2024年ベストブックに選出されている。日本語版の翻訳は、児童文学翻訳の第一人者であるさくまゆみこが担当。原作の魂を損なうことなく、日本の読者にも親しみやすい言葉で紡ぎ直している。
『冬にやってきた春と夏と秋』は、単なる子ども向けの絵本にとどまらない。歴史の闇に埋もれかけた物語が、時を超えて現代に語りかける。そこには、平和の尊さや自然の調和の大切さといった、普遍的なメッセージが込められているのかもしれない。
美しいアートワークと深い物語性を兼ね備えたこの一冊は、子どもから大人まで幅広い読者を魅了することだろう。季節の移ろいを感じる秋の夜長に、ぜひ手に取ってみてはいかがだろうか。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000927.000016935.html