第3回「おい・おい」選外佳作 我が家のおせちのルール のびまる


我が家のおせちのルール
のびまる(広島県・21歳)
「今年のおせちは六時半からです。全員集合!」
十二月三十一日、母からのLINEが来た。
周りに話すとよく驚かれるのだが、我が家では元日の朝は必ず家族そろっておせちを囲む。しかし母の仕事柄、年末年始関係なく勤務があるため、こうして六時半というなかなか早い時間に集合がかかる。
私や二人の兄は前日のカウントダウンで遅くまで起きていたり出かけているのだが、必ずその時間に合わせて帰宅する。これはもう我が家に根づいたひとつのルールであり、私の記憶ではこのルールが守られなかったことはいまだにない。
そしてもうひとつ、おせちを食べる前に全員が今年の目標を発表するのも我が家のルールだ。例えば、「何円貯金する」や「車の免許をとる」、「趣味を充実させる」など。数年前までは全員がこんな具合だった。
しかし、最近は父も母も「健康」というワードを必ず混ぜてくるようになった。確かに健康第一と言うし、健康でこその生活だ。仕事も子育ても全力で、いつまでも若く元気だと思っていた二人もいつの間にかそんな年齢になったのだ。
ここ数年でお腹がでてきた父。おせちに手を伸ばす母の手は以前よりも痩せ、しわが増えている。そして重要な我が家のおせちは、毎年祖母が丁寧に愛情を込めて手作りしてくれるのだが、数年前よりも味が濃くなった気がするし、買い忘れによって足りないものも年々増える。
こうして皆どんどん年を取って老いていくのだ。あと何年祖母の手作りおせちを家族で囲めるだろうか、としみじみ思う一方で、父の「とにかく健康」という目標にそれは目標なのかと突っ込んだ。
「健康でいるために毎日歩く」や「食生活を見直す」などであれば納得がいくのだが、あまりにも漠然としている気がする。なにをもって達成とするのだろうか。
それに、早朝おせちを目の前に「とにかく健康」と宣言した割に、父は母が仕事に出かけた途端に冷蔵庫からお酒を取り出す。その後たっぷり昼寝をし、夜にはまたお酒とカニ鍋を存分に楽しむ。まるで老いを感じさせない飲みっぷりと食べっぷりだが、今年の目標もぜひ「健康」であってほしいものだ。
(了)