せきしろの自由律俳句 第106回「飲」結果発表 (2/3)


第 105回 課題: 出会い
佳作
ゼリー飲み干すだけの昼休み
(岡山県 野のはな 13歳)
さっきまではホットティーだった
(東京都 みずら 17歳)
エンドロール八割残ったコーラ吸い込む
(東京都 南出 21歳)
湯気が濃い冷めるのが早い
(千葉県 ような恵 28歳)
水道水で喉が冬になる
(東京都 水面叩 34歳)
飲み込む言葉の多さよ
(福島県 Kurumi@mango 34歳)
朝の空気と酔っぱらいを飲み込んだ始発
(神奈川県 杏駄木さや 43歳)
間が持たず欲しくもないおかわりを頼む
(大阪府 石川聡 44歳)
缶を飲み切る時間はあるか
(岡山県 山下 絵美 45歳)
グラス空にする帰り際
(京都府 Isohama 49歳)
思ったより早く呼ばれて飴を噛み砕いて飲み込む
(愛知県 青りんご 67歳)
熱いスープに寂しさまるくなる
(京都府 北大路京介 46歳)
風を飲みこむ放課後のチャリ
(滋賀県 かと 18歳)
紙パック片手に青春の会話
(東京都 めめめい 18歳)
朝活のルイボスティーで火傷
(大阪府 吉野夏海 36歳)
缶ビールだらけの墓の前を通る
(秋田県 栗平紗江 38歳)
どう見ても噛んでいない速さだ
(北海道 エリンギ 38歳)
雨飲んで畑は新しい匂いに
(北海道 下小路智之 49歳)
空仰ぎ太陽ごと飲み干す
(大阪府 石川かるた 51歳)
みんな帰った空缶死んでる
(神奈川県 Akiki 60歳)
花で飲む海で飲む月で飲む雪で飲む
(茨城県 かずんど 61歳)
カウンター奥の侘びたダルマは隻眼
(大阪府 おさんぽさん 61歳)
父と飲む酒の味を知らない
(神奈川県 老人生(ろうにんせい) 68歳)
煮え湯飲まされても夫婦
(茨城県 さくらんぼ 71歳)
気分がいいのでレモンを浮かす
(北海道 三歩 73歳)
飲む酒が心のすき間に入っていく
(熊本県 古子 75歳)
山葵も効いて蕎麦湯なめらか
(山口県 松柏木 75歳)
『ゼリー飲み干すだけの昼休み』
私が通っていた高校に設置してあった自販機に、紙パックの「シークワーサージュース」があった。初めて見る名前に緊張しながら飲んだ記憶がある。80年代の話である。
『さっきまではホットティーだった』
時間経過がわかる句だ。冷めるまでに何があったのだろう。
『エンドロール八割残ったコーラ吸い込む』
残ったポップコーンを飲むように流し込むこともある。
『湯気が濃い冷めるのが早い』
冬は湯気が濃い。そして寒いから冷めるのは早い。白さが浮かぶ句。
『水道水で喉が冬になる』
冷たさがこれでもかと伝わってくる。
『飲み込む言葉の多さよ』
言葉を飲み込むことは多い。それは反論であったり、告白であったり、相手への配慮であったりする。それが良いとこか悪いことかはわからぬが、あなたの創作活動の幅をきっと広げてくれる。
『朝の空気と酔っぱらいを飲み込んだ始発』
夜の仕事を終えた人と、夜通し遊んだ人も飲み込む。もちろんこれから1日が始まる人も飲み込む。良い一日でありますように。
『間が持たず欲しくもないおかわりを頼む』
飲むことで間を繋ぐことはよくあるもので、私もおかわりしてしまうことがある。それはコーヒーの時もあれば、酒の時もある。飲む間に言葉を考えることもある。
『缶を飲み切る時間はあるか』
時間はないかもしれないが一か八か買ってしまいがちなのだ。。
『グラス空にする帰り際』
「さあ、行こうか」と立ち上がった時、残った飲み物を飲む。そんな光景。
『思ったより早く呼ばれて飴を噛み砕いて飲み込む』
臨場感がある句だ。「思ったより」を削って、「早く呼ばれた」とすればリズムが良くなる。
『熱いスープに寂しさまるくなる』
優しい温度。