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わたせせいぞう「菜」シリーズが完全版で復刊!画業50年の集大成、鎌倉を舞台にした和の世界

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報道発表
『菜〜ふたたび〜 Complete Box 1・2巻セット』2026年1月28日発売(プレスリリースより)

株式会社玄光社は、漫画家・わたせせいぞう氏の代表作「菜」シリーズを復刻し、2025年から2026年にかけて順次刊行する。「ハートカクテル」で知られる同氏が和のテイストを前面に打ち出した本作は、1992年から98年まで「週刊モーニング」に連載され、特に女性読者から高い支持を得た作品である。今回の復刻版は、オリジナル全エピソードに未公開資料などを収録した「Complete Edition」として、シリーズ全8巻で完結となる。

都会から古都へ、新境地を拓いた転機

わたせ氏といえば、1983年から89年まで連載された「ハートカクテル」が広く知られている。洒脱なタッチで都会の孤独や男女の心の機微を描いたフルカラーコミックは、当時としては珍しい試みだった。その連載終了から3年を経て取り組んだのが「菜」である。歌舞伎鑑賞をきっかけに日本の色彩の美しさに目覚めたわたせ氏は、着物の柄や色に取り入れられた自然のモチーフや季節感に魅了され、「和の世界」「日本の四季」を描きたいという思いを強くしていった。

古都を舞台に日本の古き良き生活文化や街の情景を美しい色彩で描いた「菜」は、わたせ氏にとって最長の連載作品となり、新たなファン層を獲得した。さらに約10年後には後日譚「菜〜ふたたび〜」も2007年から09年にかけて連載されている。

鎌倉に込められた特別な思い

物語の舞台「K市」のモデルとなった鎌倉は、わたせ氏が学生時代から足繁く通った特別な場所だ。茶道を習うために通い、漫画家への道を後押しした恩人・直木賞作家の永井路子氏の自宅も鎌倉にあった。主人公の富田耕平と桐島菜の夫婦が暮らす古い日本家屋、江ノ電の線路沿いの借家など、作中には鎌倉に実在する通りや名所が登場し、「聖地めぐり」の楽しみも提供している。

大学で物理学を教える耕平は頑固だが心優しく、ヒロイン・菜はしっかり者でありながらおっちょこちょいで寂しがり屋という愛らしさを持つ。和服が似合う凛とした佇まいの菜は、わたせ氏にとって理想の女性像であり、同性にとっても憧れの存在として描かれた。四季折々の花々や風物が登場する歳時記的な味わいがあり、繰り返し読んでじっくり味わえる内容となっている。

家族の絆を描いた後日譚

「菜〜ふたたび〜」は、二人の間に生まれた娘・かりんが3歳になったところから始まる。先天性の心疾患で亡くなった双子の兄・力、そして同じ疾患を抱えるかりんの存在が物語に影を落とす。耕平に京都の大学から教授就任の話が舞い込み、家族が離れて暮らすことになる展開は、単身赴任という現代的なテーマも織り込んでいる。京都もわたせ氏がお気に入りの街で、現在連載中の「なつのの京」の舞台にもなっている。

画業50周年を締めくくる大型プロジェクト

昨今の80年代カルチャーブームやシティーポップの人気で再び脚光を浴びているわたせ氏は、2024年に画業50周年を迎えた。それを記念した展覧会が全国で開催され、出版プロジェクトも続いている。今回の「菜」シリーズ復刊は、その締めくくりにふさわしい大型企画である。復刻版には新たに描き下ろしたカバー、未公開のネームや下書きなどの貴重な資料を収録し、「菜〜ふたたび〜」には中江有里氏との対談記事や、わたせ氏自身による掌編小説も掲載される。渡辺満里奈氏や永井博氏による帯推薦文も寄せられている。

出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000249.000053200.html