海外ロケ・国際共同製作の課題と戦略、ROBOTとP.I.C.S.が語る


アジアテレビドラマカンファレンスでの講演内容
株式会社ロボット(ROBOT)および株式会社ピクス(P.I.C.S.)は、2026年2月12日(木)~14日(土)に愛媛県松山市で開催された「第17回 アジアテレビドラマカンファレンス」で講演を行った。エンタメ社会学者・中山淳雄氏がモデレーターを務め、両社のプロデューサーが海外ロケや国際共同製作の実例について語った。
同カンファレンスは2006年にスタートした国際会議で、アジアの製作者や脚本家が集い、コンテンツ産業の課題について議論を重ねている。第17回のテーマは「アジアから世界へ~コラボレーション・共同制作の実現」となっている。
海外ロケで直面する「やり方の違い」の重要性
ROBOTの小出真佐樹プロデューサーは、企画段階から携わった4作品の経験を紹介した。海外ロケを実行する際には、各国の労働基準や撮影規制への理解が不可欠だと述べている。
特に韓国では労働基準が厳格に運用されており、日本とは制作現場の状況が異なる部分が多くある。小出プロデューサーは「言葉の問題以上に、『やり方の違い』を理解することが大切」と強調し、文化や制度の違いを前提とした準備の重要性を述べた。
実写ならではの挑戦~ルーヴル美術館での撮影例
P.I.C.S.のハンサングンプロデューサーは、『岸辺露伴』シリーズの制作を例に挙げた。日本でドラマシリーズ8作を制作した後、9作目となる映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』では日本とフランスの2か国で撮影を実施。ルーヴル美術館での撮影も行われている。
映画化にあたっては、実写ならではの表現を追求し、監督と議論を重ねながらロケーションの魅力を生かす演出を目指したという。一方で、ルーヴル美術館での撮影には厳しい規制が伴い、照明や食事などにも細かな制限がある。ハンプロデューサーは、そうした条件を理解したうえで現地チームと協働することの重要性を強調した。
海外撮影を支える助成金制度の活用
海外撮影において助成金制度は大きな要素となる。制度を導入している国で撮影することで、プロジェクトが成立したケースも存在する。現在の日本市場では、実写作品で数億円規模の製作費を回収するハードルは高く、助成金は一つの後押しとなっているのだ。
ただし両氏は「助成金のために海外へ行くのではない」と強調している。演出上のリアリティを追求した結果として海外ロケを選択し、現地を熟知した制作チームと組むことが重要だと述べている。
国際共同製作を成立させるための市場戦略
小出プロデューサーは、作品をどのように国際共同製作として成立させるかは、発注者や出資者が何を求めるかによって大きく変わると述べた。重要なのは「どの国をターゲットにするのか」という視点である。どの市場で展開を強化するのか、日本公開を先にするのか、台湾や香港など他地域を起点にするのか――。市場戦略の設計が不可欠だと語った。
ハンプロデューサーは、制作会社でありながら自社出資の可能性もある立場として、「そのシーンを撮る価値があるのか」「海外と組む意義があるのか」「自社としてどこまでリスクを取るのか」を常に検討していると述べている。
IMAGICA GROUPの国際展開と支援体制
小出プロデューサーは、昨年(2025年)のカンヌ国際映画祭内での「IMAGICA GROUPオリジナル映画製作プロジェクト」の発表に触れながら、自社IPを世界に広げていく姿勢は明確にあると述べた。
ハンプロデューサーは、IMAGICA GROUPが予算管理には慎重に向き合いながらも、各社の作品づくりに一定の裁量があり、エンタテインメント開発を支援する体制を整えていることに触れている。現在、P.I.C.S.で韓国との新たな共同製作を進めており、韓国側の原案を日本の作家が脚本化し、制作は韓国で行うという形で準備が進んでいる。来月(2026年3月)には「韓国支店」もオープン予定で、アジアを軸とした展開が進められている。
国境を越えるためのアライアンスの重要性
講演の最後に語られたのは、アライアンスへの期待である。成功体験だけでなく失敗談も共有しながら継続的に対話を重ねること、そして双方の国の事情やクリエイター情報を共有し、信頼関係を築いていくことが重要だと述べられた。海外ロケや国際共同製作には多くの調整や準備が求められるが、作品にとって必要であれば選択肢の一つとなる。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000443.000037973.html