空き家を宿に変える、建築の面白さを伝える御所浦の挑戦


空き家活用で交流人口を増やす、御所浦での宿づくり
熊本県天草市の離島・御所浦で、地域おこし協力隊員の池田皐氏が空き家を活用した宿「池田屋 Chroi yado」をオープンさせた。建築経験を活かし、地域の空き家を宿泊施設や飲食店へ生まれ変わらせるプロジェクトに取り組んでいる。着任は令和5年7月1日で、交流人口の増加を見据えた新規事業展開がミッションだ。
片付けから改修まで、1年半の積み重ねを経て宿へ
池田氏は工務店で現場監督として建築に携わっていた経歴を持つ。友人の勧めで御所浦を訪れた際に「面白そうな家が多い」ことに惹かれ、協力隊への参加を決めた。物件の探索は着任後間もなく始まったが、所有者の不安を払拭するため、地域のキーマンとのつながりを大切にしながら進めたという。
借り受けた物件は1年半の片付けから着手。多くの物が残されていたが、その後改修を進め、令和7年10月に宿の許可を取得した。改修は「セルフリノベーション」を基本とし、水回りなどの難所では専門業者の力も借りながら、地道に作業を進めてきた。池田氏は「1人だと3年かかる作業も、3人いれば1年で進む」と語り、チームワークの重要性を実感したという。
建物のストーリーを活かした「池田屋 Chroi yado」
改修が完了した宿は、地域の人々から「池田屋」と呼ばれていた名称をそのまま採用。「Chroi(黒いと読む)」という呼び名も併用している。素泊まりは1泊1人5,000円で、最大8名までを想定している。短期観光客だけでなく、学生や大学生の長期滞在も視野に入れており、近隣の御所浦恐竜の島博物館との立地を活かして「1か月単位での宿泊」も検討中だ。
池田氏が重視しているのは「建物のストーリー」である。昔の躯体や痕跡を残し、泊まった人が建築の面白さに気づけるような仕掛けを目指している。今後は改修プロセスを活かしたワークショップ的な企画も検討するなど、建築を通じた体験を提供していく予定である。
離島暮らしで広がる人間関係と地域との絆
当初「人付き合いは最小限」と考えていた池田氏だが、実際の生活で自然と人間関係が広がったという。離島ならではの距離の近さが、暮らしの豊かさにつながっているとのこと。台風時の停電や通信環境、フェリーの運休など不便さもあるが、そうした課題も含めて「御所浦のリアルな暮らし」として受け止めている。
業務外の時間に好む場所は、潮が引いたときだけ歩ける海辺だ。人の手が少ない場所で足跡だけが残る感覚を好み、草木に埋もれた昔の暮らしの痕跡を発見したときは、まるで遺跡探検のようなワクワク感を感じるという。
仲間を増やし、島の暮らしを守り続けたい
池田氏は「できるなら仲間を増やして、島でのんびり楽しく暮らしたい。人口が減っていく中でも、最低限、暮らしと経済が回る状態が残っていけばいい」とメッセージを寄せている。空き家を「誰かの挑戦の舞台」へ変えていく取り組みは、宿という形にとどまらず、御所浦の滞在や関係人口の入口として、これからも広がっていく見通しである。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000142608.html