ヴェネチア・ビエンナーレ2026日本館がカーボンフットプリント算定に挑戦


第61回ヴェネチア・ビエンナーレで環境配慮の新たな試み
NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウが運営するArt Climate Collective Japan(ACCJ)は、第61回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展の日本館(2026)において、アーティスト・荒川ナッシュ医による展覧会「草の赤ちゃん、月の赤ちゃん」にコラボレーターとして参画する。同展では、展覧会に関わるカーボンフットプリントの算定およびリサーチが実施される予定である。
赤ちゃんを育てる行為から未来を問う
本年のヴェネチア・ビエンナーレ日本館では、アーティスト・荒川ナッシュ医と共同キュレーターの高橋瑞木、堀川理沙による展覧会「草の赤ちゃん、月の赤ちゃん」が開催される。同展は2024年に双子の親となった荒川ナッシュ医の経験を起点に、「ケア」という営みを通して未来のあり方を問いかけるものとなっている。未来の象徴である赤ちゃんを育てる行為を手がかりに、これからの社会や環境について思考する空間が日本館に立ち上がることになる。
数値を身体的な経験へと変換する芸術実践
今回の環境配慮の取り組みの特徴は、カーボンフットプリントの「算定」にとどまらず、その結果を芸術表現へと接続する点にある。作品制作、素材調達、輸送、現地設営、関係者の移動など、多岐にわたるプロセスについて包括的なカーボンフットプリントの算定と分析が実施される。これらを定量的データと定性的な考察の双方から検証することで、国際展における環境への影響の実態が可視化される。
ACCJによる算定とリサーチから得られた知見を起点として、荒川ナッシュ医によるクロージング・パフォーマンスが会期最終日となる11月22日に構想されている。本パフォーマンスは、数値やデータとして現れる環境への影響を、参加型の身体的・詩的な経験へと変換する試みである。気候危機をめぐる認識と感覚のあいだを往還する新たな芸術的実践として位置づけられている。
日本館改修完了と持続可能な展覧会モデルの構築
会場となる日本館は今年で設立から70年の節目を迎える。昨年2025年には公益財団法人石橋財団の寄付を通じて、建築家・伊東豊雄氏による環境に配慮した改修工事が完了している。アーティスト、キュレーター、制作スタッフ、コラボレーターからの協力を得ながら、国際展における制作・輸送・設営・運営を含む活動の環境への影響を可視化することで、今後の持続可能な展覧会モデルの構築に向けた知見の蓄積が目指されている。
映像作品制作のためのクラウドファンディング実施中
荒川ナッシュは現在、展示の記録だけでなく映像作品としても鑑賞できる作品のためにクラウドファンディングを実施している。ヴェネチアまで訪れることができる人が限られている現実を踏まえ、日本館から発信する新作映像作品を制作し、日本での発表を目指しているもので、募集期間は2026年4月12日(日)までとなっている。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000020.000041420.html