感想文のNG書き出しと受賞する書き出しパターンを解説します|受賞するための読書感想文5大メソッド


「感動しました」は、なぜ一人も入賞しないのか
第71回青少年読書感想文コンクールの応募総数は、約203万編。そのうち全国審査まで残るのは、約520編です。
その上位入賞作を読んでみると書き出しがどれも秀逸で、どの感想文も引き込まれてしまいます。
では、引き込まれてしまう感想文にするには、どのように書き始めればいいのか。その答えを見ていきましょう。
書く前に確認!NG書き出し3選
NG①「感動しました」から始めない
「私はこの本を読んで、とても感動しました」。これは、気持ちに「感動」という名前をつけただけの一行です。なぜ感動したのか、何が刺さったのか、何も見えてきません。感情を書いているようで、実は何も書いていない。なにも伝わってこないので、審査員のこころも動きません。
NG②あらすじから始めない
あらすじは、本の中身をなぞっただけの文章です。その本を読んだ人なら、誰が書いても同じようになります。つまり、あらすじにはあなたがいません。書き出しでまず伝えるべきなのは、本の内容ではなく、その本を読んだあなたが何を感じ、何を考えたか。あらすじから入ると、いちばん大事なあなたの視点が、後回しになってしまいます。
NG③選んだ理由から始めない
「先生に勧められたので」「タイトルが気になったので」。選んだ理由を書くこと自体は、悪くありません。でもそれはあなたの事情であって、審査員には関係のない話です。貴重な書き出しを本題と関係ない情報で使ってしまうのはもったいないことです。
入賞する書き出しの4パターン
入賞していた作品は、大きく下記の4パターンに分けることができます。4つの型を、例文とともにに見ていきましょう。
パターン1:疑問から始める
いちばんシンプルで、いちばん強い書き出しです。
本のテーマにかかわる問いを一文だけ置いてみる。
「ともだちは、多いほうがいいのだろうか。」
たった一文で、書名も、あらすじも、選んだ理由もありません。あるのは疑問だけです。それなのに、この一文を読んだ瞬間、「なぜこの人はこの疑問を持ったのか」を知りたくなります。続きを読まずにいられない構造が、この一文で完成しています。
長くなくて構いません。むしろ一言で言い切ったほうが伝わるメッセージは強くなります。冒頭では本の名前すら出さずに、疑問そのものを書き出しにする。高校の上位入賞作は、7作中5作がこの型で始まっています。
パターン2:自分の体験・場面から始める
中学生の入賞作に多かったパターンです。
本の話に入る前に、自分の体験や場面から書き出していきます。
「「ごめん」と言おうとしたのに、喉の奥で言葉がつかえて、手のひらだけがじっとり汗ばんでいた。」
注目してほしいのは、「気まずかった」とは書いていないことです。「喉の奥の言葉がつかえて」「じっとりと汗ばんでいた」と、具体的な体の感覚を書いています。これだけで読み手は書き手の緊張を察することができます。
この書き出しでも、本の話は出てきません。自分の日常の場面から入り、そこから本のテーマへとつないでいきます。
「気まずい」「緊張していた」と書くのもひとつの体験だと思う人もいるかもしれません。しかし、これはただその時の感情をそのままあらわしただけです。
あいまいな表現ではなく、具体的な場面として書くことがだいじなのです。
パターン3:本の一文を引用する
心に刺さった一文を冒頭に置き、「なぜこの言葉が刺さったのか」へつなげるパターンです。
毎日新聞社賞(中学)の二作がお手本になります。
「『どなたもどうかお入りください。決してご遠慮はありません』ーー最初に読んだとき、どうしてかこの一文が頭に残って離れなかった。」
このパターンの強みは、「どの一文を選ぶか」に、あなたの視点が出ることです。同じ本を読んだ何百人かのなかで、その一文を選んだのはあなただけ。1冊の本から一文をあなたが選んで引用するということ自体が、その感想文の個性になります。
パターン4:変わったことを先に言う
読む前の自分と読んだ後の自分。その「変化」を、書き出しで宣言するパターンです。
毎日新聞社賞(中学)の感想文は、こう始まっています。
「今回『ブレイブ・ストーリー』を読んで、「勇気」という言葉に対する私のイメージは大きく変わった。」
最初に「変わった」と言われると、読み手はどう変わったのか、なぜ変わったのかを知りたくなります。読む前の自分を出発点にすることで、読んだ後の変化が際立ちます。

書き出しは、感想文の骨格を左右する
ここまで四つの型を見てきました。入り方はそれぞれ違っていますが、共通していることがあります。どれも、書き出しを軽い前置きとして扱っていないことです。
なぜここまで書き出しにこだわっているのか、理由は2つあります。
続きが読みたいと思わせる文章は書き出しで決まる
審査員はものすごい数の感想文を読みます。そのなかで、これは続きが読みたいとと思わせるチャンスがあるのは、最初の数行だけです。中盤にどれほど深い考察や思慮があっても、書き出しで心をつかまなければ、そこまで読んでもらえないのです。
書き出しでそのあとに書ける内容が決まる
「感動しました」で書き始めると、そのあとは感情の話しか書けなくなります。「大切なことを学びました」で書き始めると、教訓のような話に終始するでしょう。書き出しに置いた言葉が、その後に展開できる内容をほぼ決めてしまうのです。
逆に言えば、書き出しで疑問を置けば、その後はそれを考える方向へと進めます。書き出しは単なる導入ではなく、感想文全体の骨格を左右するのです。
書き出しは最後に書いてもいい
書き出しが骨格だ、と言われると身構えてしまうかもしれません。こんなにだいじなものを、一行目から決められないと思う人もいるはずです。
でも、書き出しは最初に書かなくてもいいのです。
本文を全部書いてから、書き出しを作る。これが、実はとてもよく効きます。
最後まで書ききってから自分の文章を読み返すと、「いちばん言いたかったこと」「いちばん強い疑問」「一番心に残った場面」などが見えてきます。それを冒頭に持ってくればいいのです。
書き出しで止まって、先へ進めない。
これは誰もが一度は経験することです。でも、「まず書き出しを決めなければいけない」というルールはどこにもありません。その思い込みを手放すだけで、感想文を簡単に書き始めることができます。